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大和ハウス、再雇用の月給最大35万円

大和ハウス工業は65歳で定年退職した社員を再雇用する制度で、4月から月給を最大35万円に引き上げる。1級建築士や施工管理技士などの資格を持つ技術系の人材を対象にする。従来は週4日勤務で月給は一律20万円だったが、週5日勤務も可能にした。企業年金もあわせると現役時代より1カ月の収入が高くなる嘱託社員も出てくるという。人手不足で工事が遅れる事例も発生しており、シニア人材を積極活用する。
4月から定年後に嘱託社員として再雇用する「アクティブ・エイジング制度」を拡充。現役同等コースを新設し、週5日勤務できるようにした。給与は職種や現役時代の役職、評価などに応じて27万5000円から最大35万円とする。
35万円の給与を提示する嘱託社員は1級建築士や施工間技士の資格を持ち、建設現場の工事監督も担える人材を想定する。3月末に定年を迎えた80人弱のうち、半数は再雇用制度を活用した。(日本経済新聞 4月4日)

 遠からず75歳まで就業する時代が到来するだろうが、就業年齢の高齢化は着々と進行している。
総務省の調査によると、労働人口比率は、2020年時点65~69歳では51.0%(前年比1.5%増)、70~74歳では33.1%(前年比0.6%増)。75歳以上の労働人口比率は10.5%(前年比0.2%増)となった。
企業も定年延長や再雇用制度の拡充を進めているが、大和ハウス工業の動きは先進的である。65歳までの雇用が義務づけられたのは2021年だが、同社は6年前の15年に「アクティブ・エイジング制度」を発足させた。
制度の概要は、嘱託雇用で毎年更新 給与は月20万円、賞与は業績評価(正社員の半分程度の支給率)、週4日勤務。
この制度を拡充して給与水準を引き上げたのだが、同社は家族介護の支援体制も整備している。12年から期限の上限がない介護休業制度を運用し、さらに年4回を上限に、帰省距離に応じた補助金(1万5000万円~5万.5000円/回)を支給する「親孝行支援制度」を導入。遠方に介護が必要な親をもつ社員の経済的負担を軽減している。
同社は有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も運営しているので、家族介護の実態も把握している。その知見をもって社員を支援していることがうかがえるが、再雇用制度と併せて中高年社員に手厚い。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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