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介護人材 紹介料が高騰…事業者の経営の重荷に

人手不足が深刻な介護現場で、職員の採用のために人材紹介会社に支払う手数料が高騰し、介護事業者の経営の重荷となっている。厚生労働省は、適正なサービスを提供する紹介会社を認定する制度を始めたが、踏み込み不足との指摘もある。
(中略)
全国介護事業者連盟などが介護施設を経営する約400の法人を対象に昨年8~9月に行ったアンケートによると、紹介会社に支払った手数料は介護職1人あたりの平均で49万5000円だった。手数料は年収に一定の割合をかけて決まることが多く、職員の給与が相対的に高い傾向にある大企業の介護付き有料老人ホームに限ると、1人あたり66万6000円に上る。
 介護保険制度では、施設の人員の配置基準が決まっている。利用者の生活を支えるサービスであるため、一時的に休業するわけにもいかず、欠員があればすぐに補充する必要に迫られる。大阪府内の特別養護老人ホームの施設長は「(紹介会社を)使いたくないのに使わざるを得ない。足元を見られている状況」とため息をつく。
(読売新聞オンライン 3月21日)

地方の介護事業者は人材紹介会社を頼らないと人材を確保できない状況と聞く。紹介手数料の年間負担額が重荷になっているが、現状では負担額のみがクローズアップされている。この問題は、紹介会社の適正利益とのバランスで考える必要がある。
紹介会社の選定で参考にしたいのは、厚生労働省の「医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者の認定制度」だ。
認定制度の必須基準は「職種別に手数料を公表している」「早期離職時の返戻金制度を設けている」「求職者にお祝い金」を支給していない」「自らの紹介により離職した者に対し、 転職勧奨をしない」「転職活動をみだりに助長するような広告をしない」「要配慮個人情報は、 本人の同意を得ないで取得していない」など。
基本基準は「求職者のキャリア、志向、希望の勤務時間や 曜日・勤務場所等の制約を把握した上で、 適した就業先の紹介を行っている」「手数料率を含むサービス提供条件は、 求人者に充分説明し理解を得た上で、 契約締結により事前合意している」「求人情報は、一定期間の後、必要に応じて 充足や変更等の確認を行っている」など。

介護事業者には多くの紹介会社が営業をかけているが、認定を受けているかどうかを選定基準にひとつにしたらよいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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