Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

日本電産、次期社長候補で5人を副社長に

日本電産は13日、次期社長候補として、5人を副社長に昇格させる4月1日付の人事を発表した。今後、指名委員会で審議し、このうち1人を来年4月に社長に登用する方針だ。創業者の永守重信会長(78)は経営体制の移行に伴い、会長とCEO(最高経営責任者)から退いて代表権のない取締役グループ代表に就く。
 5人は、子会社の日本電産サンキョー社長の大塚俊之氏(57)、ニデックオーケーケー会長の西本達也氏(66)、専務の北尾宜久氏(62)と小関敏彦氏(64)、岸田光哉氏(63)。大塚氏と西本氏、北尾氏は銀行出身で、小関氏は新日本製鉄(現日本製鉄)、岸田氏はソニー(現ソニーグループ)から転じた。永守氏と小部博志社長(73)、社外取締役3人で構成する指名委が選任した。
(中略)
 「ポスト永守」を巡っては、永守氏の主導で外部の人材を後継候補として起用してきたが、いずれも実現せず、混乱が続いてきた。
 永守氏は会見で、「後継者問題でがたがたさせたのは私の責任。二度と起こらないように選定基準もきちんと指名委で決めていただく」と強調し、「私の人生で最悪の失敗が再来することはない。潔くきれいに会社を去る」と明言した。
(読売新聞オンライン 3月13日)

 大物創業社長が後継社長への承継を完遂するには、自分は身を引くという決断が大前提である。たとえ後継社長が物足りなくとも、身を引かない限り、事業承継は完遂できない。
日本電産が開示している社長の選任基準は「NIDECグループの製品を通じて世界の快適な社会づくり(ソリューションビジネス)に貢献できる高いリ-ダーシップを持ち、NIDECグループ全体を統制し、指揮することができる者であること」。
これまで後継社長に就任した人たちも、この基準をクリヤしていたのだろうが、ことごとく短期間で解任された。永守重信氏が身を引いていれば茶番劇は起きなかったのだが、当時は身を引く心境ではなかったのだろう。今後はどうか。
かりに永守氏が退任しても、持株比率8・06%・株主順位2位の大株主である。社長人事に影響力を行使できる。持株を売却して影響力を行使できない立場にみずから移行するのだろうか。
今回副社長の選任された5人は、同社が策定した副社長の選任基準である①日本電産役員ポスト及びグループ会社社長ポストの中で「際立った変革のリーダーシップを発揮」かつ「際立った業績貢献を行った者」であること②社長ポストへのポテンシャルが見られる者であること――をクリヤしていると見なされる。
次の社長人事が不退転に人事になるのかどうか。こればかりは結果を見る以外にない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。