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平均年収 約2割、初任給 約3割の引き上げ

極洋は2023年4月1日より新たな人事制度を導入し、平均年収を約2割、初任給を約3割引き上げる。
 当社では、競争力のある会社であり続けるためには、従業員の幸福が必要不可欠との経営ビジョンのもと、企業収益、企業価値向上にもつながる、従業員が生き生きと働ける環境づくりを推進している。新人事制度は、多様化する働き方やライフスタイルの変化に対応し、組織貢献度、能力、資質等をより適正に評価できる柔軟性のある制度。能力の高い若手社員の昇格スピードを速め、従前より早く、役職に就くこともできる制度設計としている。
 また、定年を60歳から65歳に延長する。意欲や知見のあるシニア人材を活用するとともに、労働人口の減少や法改正などの外部環境の変化にも対応する。
 若手からシニア社員まで、年齢によらない意欲と能力に応じた人事制度で、公平性と社員の人事評価への納得感を向上させ、仕事の成果に応じた昇格と昇給を実現していく。(極洋作成ニュースリリースを要約 3月1日)

 開示情報によると、極洋の社員平均年収は713万円(平均年齢40・6歳)。2割引き上げれば855万円になる。賃上げの発表がつづく大手企業のなかでも引き上げ幅が大きい。これだけ引き下げれば物価高を吸収できるだろう。
だが極洋に限ったことではないが、今春の賃上げにはいくつかの疑問が湧いてくる。うがった見方といえばそれまでだが、これだけの賃上げが可能なのに、なぜいままで賃上げをしなかったのか。政府や経団連会長が賃上げを要請しなれば賃上げをしなかったのか。物価高が発生しなければ賃上げをしなかったのか。さらに物価高に拍車がかかった場合、来春の賃金改定にはどう対処するのか。賃上げは抑制してインフレ手当でカバーするのか。
 日本企業の賃金水準は過去30年上がらなかったことがよく話題になるが、今春の賃上げを契機に労働分配率が見直され、標準値が再設定されることを期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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