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社長報酬1億9000万円 22年、日本の大手中央値

人事コンサルティングのマーサージャパン(東京・港)は日本での企業の役員報酬に関する2022年版の調査結果をまとめた。対象800社のうち、売上高1兆円以上の日系企業74社の社長報酬(中央値)は約1億9000万円だった。対象企業が異なる21年調査との単純比較では58%増だった。
同じ条件で最高経営責任者(CEO)報酬をみると、日本は1億6900万円。米国(11億8100万円)やドイツ(7億2700万円)などに水をあけられている。基本報酬部分での差は小さいものの、株式報酬など業績に連動して支給される「インセンティブ」の多寡が総報酬の格差につながっている。
日本企業の社長報酬の構成は基本報酬が4割を占める。残る6割のうち、1年間の業績に連動する「短期インセンティブ」と、1年以上の期間の業績を反映する「中長期インセンティブ」がそれぞれ3割ずつだ。対して欧米企業のCEO報酬はインセンティブ部分が7〜9割程度に達する。
(日本経済新聞 2月21日)

売上高1兆円超の社長報酬額は例外である。労務行政研究所が2021年7月16日~11月2日に実施した調査(対象:全国証券市場の上場企業3724社および上場企業に相当する非上場企業81社の合計3805社)によると、社長の年間報酬(規模計平均)は4676万円、規模1000人以上で6771万円、300~999人で4410万円、300人未満で3295万円だった。
日本実業出版社『役員報酬・賞与・退職金 中小企業の支給相場』が20年に実施した調査では、中小企業社長の平均年収は約1700万円あった。
一般論だが、企業規模が拡大するにつれて社会性や公益性が求められるので、経営者の視座も上がっていく。自社の発展から業界の発展へ、さらに地域社会、国家へと視座が上がっていくのだ。そういう資質がないと大企業の経営者は務まらない。
年収1億円は庶民にとっては垂涎の的でも、当の経営者は収入に目がくらむのではなく企業価値向上に関心が向いているものだ。しかし報酬はエネルギーの源である。海外の役員報酬と比較すれば、もっと欲しいと火が付くのかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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