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非正規で働く理由、「都合いい時間に」最多

総務省が14日に発表した労働力調査の詳細集計によると、「自分の都合のよい時間に働きたい」との理由で非正規の職員・従業員となった人は2022年平均で679万人だった。前年から22万人増え、統計がある13年以降で最多になった。理由別の割合でみると33.5%となり、13年比で約9ポイント上がった。柔軟な働き方を重視する人が増えている。
一方、「正規の職員・従業員の仕事がない」との理由で非正規となった人は210万人と前年から6万人減った。13年比では約130万人減。割合も22年は10・3%と13年比で約9ポイント下がった。
22年は自分や家庭の都合で休業する人も増えた。22年の休業者219万人のうち、「勤め先や事業の都合」は22万人と全体の1割。「自分や家族の都合」は145万人と6割を超え、そのうち「出産・育児のため」は59万人と前年比6万人増えた。出産育児を理由とした休業者は男性が3万人、女性が56万人といずれも過去最多だった。(日本経済新聞 2月15日)

非正規雇用はたしかに生活実態に合わせた柔軟な働き方ができるが、それでも賃金水準が格段に低いという問題がある。
政府も問題視して、松野官房長官は2月16日の記者会見で「非正規雇用労働者の処遇改善に向けて、政府として最低賃金の引き上げに取り組むとともに、同一労働同一賃金の徹底、キャリアアップ助成金による非正規雇用労働者の賃金引き上げや、正社員への転換の支援などの取り組みを進めていく考え」と述べた。
キャリアップ助成金は、非正規雇用 労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の 取組を実施した事業主に対して助成する制度である。
たとえば有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定して昇給した場合、対象労働者が1~5人なら1人当たり3万2000円(大企業は4万円)、6人以上は1人当たり2万8500円(同1万9000円)が助成される。
あるいは有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者との共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成して適用した場合、1事業所当たり57万円(大企業は42万7500円)が助成される。短時間労働者の週所定労働時間を延長して処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合には、1人当たり22万5000円(大企業は16万9000円)が助成される。
使い勝手のある制度だが、中小企業にどれだけ知れわたっているだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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