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昨年の有効求人倍率1・28倍、4年ぶり前年上回る…宿泊・飲食業など回復

厚生労働省は31日午前、2022年平均の有効求人倍率が1・28倍となり、18年以来4年ぶりに前年を上回ったと発表した。新型コロナウイルスの流行を受けた行動制限が緩和され、大型連休や夏休みを前に「宿泊業、飲食サービス業」などで求人数が回復したことが全体を押し上げた。
 有効求人倍率は、求職者1人あたりの求人数を示す。1を超えれば、求職者よりも求人数が多い人手不足、1を下回れば、就職難の状態を表す。新型コロナの感染拡大が本格化する前の19年平均は1・60倍だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で経済状況が悪化し、20年は1・18倍、21年は1・13倍と続落した。
 厚労省が同日発表した22年12月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から横ばいの1・35倍だった。新規求人数(原数値)は前年同月比4・8%増となった。産業別では「生活関連サービス業、娯楽業」が同18・5%増、「宿泊業、飲食サービス業」が同6・9%増だった。一方、「建設業」は同6・2%減、「製造業」は同0・1%減だった。
(読売新聞オンライン 1月31日)

 厚生労働省が調査した令和3年上半期の業界別離職率は、多い順に宿泊業・飲食業(15・6%)、教育・学習支援業(11・0%)、生活関連サービス業・娯楽業(11・0%)、サービス業(他に分類されないもの)(9・7%)、医療・福祉(8・6%)だった。
 コロナ禍の影響もあるが、宿泊業と飲食業の離職率は群を抜いて高い。行動制限が解かれれば宿泊業と飲食業の需要が戻り、人手の確保が難題になることは想定されていた。やむを得ない措置とはいえ、辞めさせ過ぎたのである。
 帝国データバンクの調査では、全国の旅館・ホテル業(集計対象800社)の業績は22年10月時点で、4割超が前年同期に比べて「増収基調」と回答した。飲食業は、日本フードサービス協会が発表した2022年12月の市場動向が、21年比108.6%、19年比で 100.6%。コロナ前の水準に戻っている。
 ただ、コロナ禍で退職を迫られた人は、再就職先がなかなか見つからず、大変な思いをしたケースが少なくない。雇用の安定した業種を望み、失業リスクの高い宿泊業・飲食業を避ける傾向があると聞く。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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