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理研、若手研究者の給与を最大2割引き上げ 優秀な人材確保へ

理化学研究所(本部・埼玉県和光市)は26日、若手研究者の給与を最大2割引き上げるなどの若手支援策を発表した。4月から導入する。日本の研究力が低下する中、研究に専念できる環境を整え優秀な人材を確保するのが狙い。  
給与引き上げの対象は、博士号取得から5年以内のポスドク(任期3年、142人)と、大学院博士後期課程の学生(任期1~3年、132人)。現在の月給はポスドク48万7000円、大学院生16万4000円だが、それぞれ55万円と20万円にする。  
研究費も増やす。ポスドクの研究費は年100万円だが、2、3年目で申請に基づき50万円ずつ増額。大学院生には研究費を支給していないが、国際学会の参加費用を年50万円以内で支給する。  優秀な若手を登用する「白眉(はくび)」などのポストも拡充する。
部長級ポスト(任期7年)に、性別を問わない2人と女性1人の計3人、新設する課長級ポスト(任期5年)に男女2人ずつを、それぞれ毎年採用する。任期中の研究費や初期費用もサポートする。2024年度の着任を目指し、今年4月に公募を始める。(毎日新聞 1月26日) 

理化学研究所が1月26日に発表した「新たな若手研究者育成・支援策の実行について」によると「大学院生、ポスドク研究員の経済的な支援を充実させることで、研究に集中できる環境を提供」が賃上げの趣旨だという。
新たに実行する施策では、部長級に対して、研究室の立ち上げ費用(初期費用)の増額で優秀な女性研究者の採用をさらに積極的に進める。任期は7年とし、初期費用、7年間の研究費をサポートする。課長級に対しては、任期を5年とし、初期費用、5年間の研究費をサポートする。
一方、大学院生とポスドク研究員に対しては、①博士号取得から5年以内の若手研究者を対象にした基礎科学特別研究員②大学院博士後期課程の学生を対象にした大学院生リサーチ・アソシエイトの給与を増額する。さらに基礎科学特別研究員に対しては研究費の増額、大学院生リサーチ・アソシエイトに対しては国際学会参加経費の支援も予定している。
理化学研究所は渋沢栄一を設立者総代として1917年(大正6年)に設立され、敗戦後にGHQに解体されたが、58年に特殊法人として復活した。日本の科学技術の中枢を担ってきた歴史を振り返りながら、研究開発環境の改善に期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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