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裁量労働制、M&A業務を追加へ 厚労省

厚生労働省は27日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開いた。  
あらかじめ労使で決めた時間を働いたと見なす裁量労働制の対象に、企業の合併・買収(M&A)に関わる金融機関の業務を加える案を示し、了承された。厚労省は今後、省令改正などに向けて手続きを進める。  
裁量労働制には、デザイナーやコピーライターなど19業務が対象の「専門型」と事業の企画や立案などに携わる「企画型」の2種類がある。分科会では、銀行と証券会社でM&Aの助言などを行う「M&Aアドバイザー」を専門型に追加するのが適切か検討。経営者側が「専門性が極めて高い」として追加を求める一方、労働者側は「労働時間が正確に管理されない労働者の数が増える。安易な拡大は反対だ」などと主張してきた。
(時事通信 12月27日)

 

M&Aアドバイザー業務は、譲渡企業と提携仲介契約を締結したのち、譲渡企業の経営状況を分析して評価を行い、事業内容や財務内容をまとめた企業概要を作成する。この時点で、どんな企業に売却案件として持ち込めばよいのかが明確になってきます。ここまでが第一ステップです。
 次に、譲受企業への初期提案として譲渡企業が特定されない体裁で作成した「ノンネームシート」という譲渡希望企業の案内書を作成。譲受企業候補に示して、秘密保持契約書を締結する。同時に譲渡側と守秘義務契約を結んで、M&Aを進めたいという意思を確認して「インフォメーションパッケージ」を作成する。インフォメーションパッケージには①会社の沿革②定款③事業内容④組織図⑤役員の経歴⑥人事関連情報⑦財務関連情⑧中期経営計画などが書かれている。
 その後、双方の経営者同士のトップ面談を経て基本合意を締結し、買収監査を実施する。瑕疵が存在しなれば最終契約を締結して株式譲渡を実行する。
 これら一連のコーディネートするのが仲介担当者である。譲渡希望企業の社員に途中で発覚すれば、ほぼ破談になってしまうため、経営者との打ち合わせでは、社員に気づかれるリスクを避けるため週末や祝日に訪問するケースも多いという。専門性もさることながら、変則的な動きをする場合もあることから、M&Aアドバイザーは裁量労働制が望ましいだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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