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女性役員「25年に19%に」、政府が中間目標 3割達成「高い壁」

東京証券取引所プライム市場の上場企業で、女性役員の比率を「2030年までに30%以上を目指す」とする政府の目標をめぐり、岸田文雄首相は25日、25年までに19%に引き上げ、女性役員を登用していない企業をゼロにする方針を示した。「30年に30%以上」までの中間目標の位置づけ。欧米などに比べて遅れている女性役員の登用を着実に進める狙いがある。
同日あった男女共同参画会議で表明した。中間目標を追加したことなどに伴い、25年度までの「第5次男女共同参画基本計画」を一部変更する。岸田首相は、「女性役員比率を30年までに30%とする目標に向けた中間目標として、25年までに19%とすることを目ざす。人材の採用、育成の支援や、仕事と育児介護の両立支援策を充実させていく」などと述べた。  
内閣府によると、東証プライム上場企業(25日時点で1658社)全体で、女性役員比率は昨年の11・4%から今年は13・4%に上昇した。「女性役員ゼロ」の企業の割合は、昨年の18・7%から今年は10・9%に減った。  
一方、民間企業の女性の割合は、係長級が22年に24・1%まで増えたものの、部長級は8・2%にとどまる。上位の役職ほど女性の割合が低い状況だ。
(朝日新聞デジタル 12月25日)

 政府目標は、東証プライム市場上場企業役員に占める女性の割合が2025年に19%、30年に30%だが、現状は13.3% (2023年)にとどまっている。東証プライム市場上場企業で女性役員が登用されていない企業の割合は、政府目標は25年に0%だが、23年でプライム市場 上場企業全体の女性登用なしは11.0%である。
 全上場企業(東証プライムおよびスタンダード)で業種別女性役員(取締役・監査役・執行役)比率(比率の高い業種をみると、多い順に石油・石炭製品(18.3%)、保険業(18.3%)、医薬品(15.2%)、水産・農林業(13.2%)、電気・ガス業(13.2%)、空運業(12.9%)、小売業(12.7%)とつづく。BtoCの業種が並んでいる。
 経団連は女性役員の登用を促すために①取締役・監査役・執行役・執行役員のダイバーシティの進化による 「イノベーティブな意思決定や業務執行」と「多角的な観点からの監督・監査」の推進(性別、人種・国籍、障害の有無はじめ様々な属性・多様な価値観の包摂)②女性登用の遅れている業種・業態での ダイバーシティへの理解推進③社内人材(特に男性以外)の育成と 役員登用(タレントパイプラインの強化)――を示している。
 政府目標の達成の可否はともかく、女性役員登用の機運はどんどん高まっている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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