Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

「今の職場では働けない」人は約3割 職場への不満で圧倒的1位は?

アントプロダクション(大阪府大阪市)は、運営するWebメディア「リバティワークス」において、「コロナ禍で受けた影響・転職についての意識調査」を実施した。withコロナ時代の働き方について、31%が「今の職場では働けないと思う」と回答した。職場への不満ポイントを聞いてみると、「収入」が圧倒的に多く59%となった。
「コロナ禍による多忙で職場の空気がギスギスしている」「コロナの影響で増えた労働量と賃金が見合わない」など複合的な不満を持つ人も多かった。  
6割が仕事でコロナの影響を受けていると回答した。影響を一番実感した場面は「業績の悪化」(95人)だった。以下、「給料の変化」(87人)、「テレワークへの移行」(73人)と続く。業績の好転を挙げる一方で、仕事が暇になったなど業界や職種により明暗が分かれた。  転職への意識に関する質問では、72%が「転職したいと考えたことがある」と回答した。「転職したい」と考えたきっかけは「収入の低さ」が約6割を占めた。( ITmedia ビジネスオンライン 12月16日)

 この調査によると、コロナについて報道されてからから現在までに、転職した人は全体の28%だった。転職の決め手は「収入アップ」「労働環境」が上位を占めた。労働環境では人間関係が大きなウエイトを占めているのだろうが、最近の傾向として“ゆるい職場環境”に嫌気が出て、退職するケースが若手社員の間で増えているという。
リクルートワークス研究所が大企業に勤める新入社員らを対象に、21年11月に実施した就労状況定量調査によると、「新入社員期に職場の上司・先輩から叱責される機会が一度もなかった割合」は1999-04年卒では9.6%だったが、この割合は年を追って増えはじめ、直近の新入社員では25.2%にまで増えた。4人に1人が叱責された経験がないのだ。
これはパワハラ横行問題の反動で、上司がすっかり委縮してしまったことが背景だ。部下を指導するときに、逐一「この言い方はパワハラに該当するだろうか?」などと自問するぐらいなら、とりあえず叱責だけは避けようと安全策を講じる上司が多いのではないだろうか。
部下に「いまの言い方、パワハラですよ」と返されるだけでなく、社内でパワハラ上司のレッテルが貼られてしまえば人事考課にも影響する。その怯えがゆるい職場環境への変質につながったようだが、ゆるさに安住しない若手社員が増える傾向は健全だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。