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転職求人倍率 2022年11月は2.23倍

パーソルキャリアの調査によると、2022年11月の転職求人倍率は、前月から0.11ポイント増の2.23倍となった。求人数は前月比102.3%、前年同月比144.6%。転職希望者数は前月比97.4%、前年同月比114.0%だった。
求人数は、業種別では12業種のすべてで前月から増加した。最も増加率が大きかったのは「コンサルティング」(前月比105.1%)、次いで「人材サービス」(前月比104.9%)。
「コンサルティング」ではM&Aに関連する企業でコンサルタントや市場分析のポジションを募集する求人が増えた。これは、新型コロナウイルス感染症による中小企業の事業承継需要が増加し続けていることが影響していると推測される。
一方で転職希望者数は、例年、年末にかけて減少する傾向にあり、今年も同様の動きとなった。これらの動向を受け転職求人倍率は11月も上昇し、過去最高値を更新した。(パーソルキャリア作成ニュースリリース 12月16日)

中小企業のM&Aを手がける有力なプレーヤーのひとつが会計事務所だ。その会計事務所も所長である税理士の高齢化で事業承継問題に直面している例が多く、M&Aに踏み切るようになった。
会計事務所の後継所長は税理士資格の保有者でなければならないが、たとえ有能な税理士でも所長に適任であるとは限らない。職員を統括して、新規の関与先開拓を行なう営業力も必要だ。
しかも次期所長に適任の税理士が在籍していても、独立志向が強く、引き継いでくれるとは限らない。えてして営業力に長けた有能な税理士ほど独立志向が強いため、次期所長への就任を打診したら、独立計画を打ち明けられて困惑した所長もいるという。
こうした実態も踏まえて、会計事務所のM&Aが増えているのだが、同業者同士のネットワークで相手先を見つけ、とんとん拍子で進むのかといえば、現実はそうではない。これまでは関与先の事業承継やM&Aをサポートしてきた経験があっても、自事務所の客観的な評価は難しく、相手先の選択も同様である。
 たとえば医師は自分の健康チェックを他の医師に依頼することが少なくないが、会計事務所もM&Aコンサルタントに評価と相手先の紹介を依頼するケースが増えている。パーソルキャリアの調査で「コンサルティング」の転職求人倍率が最多になった結果は頷ける。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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