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サントリーHDが5年ぶりベア検討…ビール大手4社が実施の気運

飲料大手サントリーホールディングス(HD)の新浪剛史社長は13日、2023年春闘で、基本給を底上げするベースアップ(ベア)を含めて月収ベースで6%の賃上げを検討する考えを明らかにした。ベアが実現すれば5年ぶりとなり、連合の掲げる5%程度を上回る賃上げ水準となる見通しだ。
 新浪社長は同日、読売新聞のインタビューに対し、「物価高で社員の生活は悪くなっている。ベアをしなければならない」と述べた。定期昇給や一時金などを含め、平均6%引き上げる方向で労働組合と交渉する方針だ。
 ビール業界では、キリンHDの磯崎功典社長がベアを実施する意向を示しているほか、アサヒビールもベアを含めた5%程度の賃上げを検討。サッポロビールもベアの実施を予定するなど、ベアを含む賃上げの機運が高まっている。(読売新聞オンライン 12月13日)

 新浪剛史氏は発信力の強い経済人なので、経済同友会代表幹事への就任でますます影響力を発揮するだろう。賃上げについても発信するのではないだろうか。
 一方、賃上げを進める流れに水を差しかねない動きが出てきた。防衛費増額の財源確保として増税を実施する案だ。さる12月15日に開かれた自民党税制調査会の幹部会合で、防衛費増額の財源の一部として、現行の税率を変更せずに法人税に4~4・5%を上乗せする案が了承された。賃上げを進めたい企業にとっては、賃上げの原資に響いてくる。
 さらに給与所得者本人にとって、雇用保険料率の引き上げが気がかりだ。
厚生労働省は雇用保険料率を2023年4月に引き上げる方針だという。雇用調整助成金の特例措置で給付が拡大したため、1.35%に引き下げていた料率を原則の1.55%に戻す方向で検討を進めているそうだが、雇用保険は企雇用主と従業員が負担し合う。
賃上げが実施されても、手取りに一定の影響が出てしまう。ゼロ・ゼロ融資の返済などで賃上げどころではない会社にとっては、従業員とともに負担を覚悟しなければならない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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