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みずほ・政投銀、雇用DX新興に出資 新規事業創出も

みずほ銀行は近く、日本政策投資銀行(DBJ)と共同で、雇用支援システムを手掛けるHRソリューションズ(東京・中央)に計5億円を出資する。給与支払いや金融教育といった金融サービスとデジタル技術をかけ合わせ、サービスの利用拡大と就業環境向上を狙う。人的投資の必要性が高まるなか、みずほは雇用分野のデジタルサービスで新規事業の創出も検討する。

2行はHR社が実施する増資を引き受ける。HR社は2004年設立で、飲食・小売業を中心に採用やアルバイトのシフト管理などで、雇用のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援してきた。

HR社は銀行と組み、資産運用や金融教育、ヘルスケアなど幅広いサービスを導入企業の従業員に提供できると判断。調達資金は、スマートフォン決済などのデジタルマーケティングで給与が受け取れるサービスの開発を皮切りに成長投資に充てる。(日本経済新聞 12月9日)

 HRソリューションズは2012年から22年の10年間にかけ、国内を中心にのべ3452万人の就転職希望者を顧客企業・団体へ自社のプラットフォームを通じて紹介してきた。顧客は小売、物流、飲食、医療・福祉・介護、教育、レジャー、サービス、宿泊ほか3次産業を中心に、省庁や地方公共団体にもおよんでいる。

22年11月末時点で全国1025社・47万事業所にサービス提供し、年間約600万人超が、同社の顧客に応募しているという。

DXを構成するトランスフォーメーションの意味は「変化」「変質」「変換」で、トランスフォーメーションがDXによる成果を大きく左右する。日本がDXで遅れを取っているといわれるのも、デジタルよりも、むしろトランスフォーメーションが不足しているからだ。

 不足している背景のひとつに、日本はアナログの水準が高いことが挙げられよう。コンビニエンスストアのネットワークが張り巡らされ、各店舗とも品揃えが豊富で欠品補充が徹底しているため、Eコマースがなかなか普及しなかった。

あるいは医療DXの先陣を切っているオンライン診療はコロナ禍で普及が加速したが、オンライン診療元年といわれた2018年以降、遅々として進まなかった。それはフリーアクセス制のもとで、中山間部や島しょ部などを除けば医療機関へのアクセスが良いからだ。オンライン診療のニーズがなかなか湧いてこなかったのだ。

こうした社会背景を踏まえたDXという視点が必要だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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