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都道府県ランキング(女性起業家比率)福島県1位、支援手厚く

起業家の女性比率が全国的に高まっている。新型コロナウイルス感染拡大後、男女ともに地方移住への関心は高まったが、地方は仕事の多様性が乏しく、女性の賃金水準が低い場合も少なくない。それならばと「手に職」を求めて自ら起業する女性が増えている。

日本政策金融公庫が創業前段階の融資先で女性起業家の人数(支店のない沖縄県を除く)を調べたところ、2022年度上半期(4~9月)は2219人と21年度同期より12.%増えた。

2年連続の増加となり、コロナ直前で直近ピークの19年度同期(2052人)も上回った。このままの伸び率が続けば22年度通期で女性起業家が4000人を大きく超え、過去最多となる見通しだ。

(中略)

 福島市は22年7月に「ふくしま起業女子応援パッケージ」を始めた。女性起業家の先輩を「起業姉さん」と名付け、姉のようなロールモデルとして気軽に相談できるように応援したり、その先輩の会社で職場体験を促したりしている。(日本経済新聞 12月6日)

 この記事のタイトルに「支援手厚く」と書かれていたので、補助金や助成金が手厚く提供されているのかという印象を受けたが、資金援助ではなかった。だから期待できる。

起業家が事業を軌道に乗せて、発展させて、自身を企業家に転身させるには独立独歩のマインド、言い換えれば突っ張り精神が必須の資質である。それは公的支援に頼らない経営姿勢に通じる。

突っ張り精神に前進力を加えたのがアニマル・スピリッツだ。財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は2021に取りまとめた「建議」で、安易な財政支出が民間企業に公的資金への依存を招き、アニマル・スピリッツを減退させると懸念した。

アニマル・スピリッツはケインズが定義した概念で、『雇用・利子および貨幣の一般理論』にこう書いている。

<結果が出ないことでも積極的になそうとする、その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマル・スピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動>

 アニマル・スピリッツは行政文書に似つかわしくない言葉だが、この「建議」の8年前にも、2013年版『経済財政白書』が<企業の活力を引き出し、企業家がアニマルスピリット(野心的な意欲)を発揮するようにしていかなければならない>と提言した。

 公的資金をアテにするのは起業になじまない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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