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「インフレ手当」、企業の6.6%が支給

物価高騰をきっかけとして、従業員に対して特別手当(インフレ手当)の支給を実施または検討しているか尋ねたところ、「支給した」企業は全体の 6.6%となった。また「支給を予定している」は 5.7%、「支給していないが、検討中」は 14.1%となり、合わせると全体の 4 社に1社(26.4%) がインフレ手当に取り組んでいる。
他方、「支給する予定はない」は 63.7%となった。 既に支給した企業からは「物価の高騰が続き、社員やパート社員の生活が困窮しないように一 時金を全従業員に支給」(事業サービス)と、記録的な円安水準や原材料価格の高騰を背景に、食料品などの値上げラッシュが続くなか、実質賃金の減少を補うために支給するとの声が聞かれた。
また「物価高騰のなかで少しでも社員のモチベーションアップにつながればよい」(工業用薬品卸 売)、「食費・光熱費などの負担増は現実問題であり、人材流出の防止策としても実施する予定」(建物売買)とあるように、従業員のモチベーションアップや人材定着といった狙いもうかがえる。(帝国データバンク発表 11月17日)

インフレ手当を一時金として支給する場合、約5万円が相場のようだ。住民税非課税世帯に対して、今秋から支給がはじまった自治体からの生活支援金が5万円だから、その水準に合わせたのだろうか。
ともかく社員の生活が困窮すれば、やがて困窮しない賃金水準の会社への人材流出は避けられない。それ以前に社員の生活を守るという姿勢を示さないと、いくらモチベーションアップ策を講じても空回りしかねない。
その一方で、帝国データバンクの調査によると、支給する予定はない企業もある。理由は何だろうか。
「会社自体も電気代などのコストが上昇しており、それら全てを製品に価格転嫁できていないなかで、社員に対して手当を出すことは難しい」(金属プレス製品製造)「今年の昇給額を例年より高めに設定しているので、特別手当は考えていない」(肉製品製造)「一時金なら賞与、月額なら基本給に含めたほうが効果的と感じる。一過性の手当の場合は手当がなくなる時期の影響が心配」(ソフト受託開発)。
 それぞれに事情がある。支給の予定がないことに社員が納得していればよいのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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