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ワコールHDの中核事業会社、250人の早期退職を募集 社長も辞任

女性下着大手のワコールホールディングス(HD、京都市)は11日、国内事業を担う中核事業会社の「ワコール」で、事実上の早期希望退職制度にあたる「フレックス定年制度」の利用を募る。約250人を募集する。国内事業がコロナ禍からの回復が遅れ、苦戦が続いている。業績悪化に伴い、ワコールの伊東知康社長が引責辞任する。
来年1月に応募し、同年3月末に退職する。対象は、勤続15年以上で45歳以上の正社員など。販売員は除く。応募者には退職金に加算金を上乗せする。  
伊東社長は11月30日付で辞任する。来年3月まではワコールHDの安原弘展社長がワコール社長を兼務する。  百貨店などの実店舗を主な販路としている国内事業は、新型コロナの感染拡大による店舗の休業などによって大きな打撃を受けた。営業体制の見直しやブランドの集約といった組織改編とともに、早期希望退職によって人員構成を見直し、人件費を下げる考えだ。
この日の会見で安原社長は、「改革を進めてきたが、コロナ禍で売り上げが目標に到達せず、追加施策が必要だと判断した」と説明した。(朝日新聞デジタル 11月11日)

東京商工リサーチによると、2022年1~9月に早期・希望退職者の募集が判明した上場企業は、33社(募集人数5000人)。コロナ禍の20年以降、1~9月累計では社数、募集人数ともに最少を記録した。
さらに募集人数は、通年ではコロナ前の19年(通年35社、1万1351人)を下回る可能性も出てきたという。コロナ特別融資の返済に行き詰って倒産が急増するという予想もあるが、それは22年の下半期以降に起こるのだろうか。
早期・希望退職の募集が判明した33社の直近の通期損益は、半数以上の18社が黒字だった。黒字企業の実施が赤字企業を上回るのは19年以来3年ぶりで、富士通や日本ペイントホールディングスなど増益企業で将来を見据えた人員構成の是正などが散見された。
黒字リストラは賃上げ対策でも実施されるだろう。物価高を背景とした相次ぐ賃上げで総人件費が膨らんでゆく。賃上げを実施する一方で、希望退職を募集して人件費の抑制を図る動きが出てくることが予想できる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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