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Meta、1.1万人の人員削減 「メタの歴史で最も厳しい変化」

Metaは9日(米国時間)、11,000人以上の社員を解雇すると発表した。マーク・ザッカーバーグCEOが社員へのメッセージとして発表した。会社全体の13%の人員削減となり、「Meta(メタ)の歴史で最も厳しい変化」としている。
同社では、コロナ禍により世界が急速にオンライン化し、ECの急増により収益が大幅に増加したことから、パンデミック終了後も大きな成長が続くと予測していた。それを見越した大規模投資を行なっていたが、「期待通りにいかなかった」とする。ECが以前の成長トレンドに戻っただけでなく、マクロ経済の悪化、競争の激化などにより、Metaの収益は予想を大きく下回るものとなり、ザッカーバーグ氏も「私の誤りであり、責任は私にある」とする。
人員削減の対象は、FacebookやInstagram、Messengerなどの「Family of Apps」とQuestなどメタバース関連の「Reality Labs」など、すべての組織。また、2023年は採用を大幅に減らし、ビジネスチームも再編する。新規雇用の凍結も第1四半期まで延長し、景気悪化環境においてもコスト構造をコントロールできるようにする。(Impress Watch 11月10日)

 ツイッターやメタを解雇された社員のなかからWeb3のスタートアップを立ち上げ、ビッグビジネスに育て上げ、時代を推し進める流れが形成されるのではないか。アナログネーティブ世代にとっては、ますます適応しにくい時代に移行し、世代をあげたリスキリングが必要になるのだろうか。
 それにしても、いかにも大胆な人員削減である。社員を「人材」ではなく「人財」と記す日本企業は珍しくないが、米国では「財」ではなく「材」なのだ。社員も自分が「材」であることを自覚しているのだろう。
 日本では業績悪化にともなう整理解雇には①人員整理の必要性②解雇回避努力義務の履行③被解雇者選定の合理性④解雇手続の妥当性――という4つの要件が課せられている。株主やメインバンクの意向でバッサバッサと社員を切り捨てることは認められない。ただ、どれだけ遵守されているのか。社員も抵抗したところで利は少ないので、割増退職金をもらって次の仕事探しに専念するのが大方である。
一方で、解雇規制が厳しすぎて経営革新の阻害要因になっているという意見も強まっている。ジョブ型雇用が普及すれば「人財」から「人材」へと転化する企業も増え、社員が業績の調整弁として乱用されることは避けられない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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