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SOMPOHD、非管理職の定期異動廃止

SOMPOホールディングスは持ち株会社の非管理職について会社主導の定期異動を廃止する方針だ。2023年度から大半の部署の課長代理や主任について職務に必要な能力を社内で共有し、現場の社員の立候補制とする。若手の段階からキャリアを選びやすくし、社員の能力や成果を引き出しやすくする。
SOMPOの持ち株会社は「ジョブ型雇用」を導入しており、グループ全体の社員が現在の役職や従業員区分、年齢、勤続年数を問わず応募できる仕組みだ。これまで部課長など管理職に限られたが、対象を非管理職に広げる。
具体的には経営企画や財務、デジタル、サステナビリティーなど十数部署で年1~2人の枠をSOMPOグループ内に示す。立候補者は22年内に実施する部署ごとの担当役員や管理職による選考を経て、23年4月に配属する。(日本経済新聞 10月14日)

 社員は人事異動をどう受け止めているのか。異質な経験を積んでキャリアアップを図る機会と前向きに受け止めているのか、それともワークライフバランスの観点から異動を避けたいと考えているのか。
パーソル総合研究所が2021年12月に発表した「一般社員層(非管理職層)における異動配置に関する定量調査」(対象・年齢20~59歳 正社員、総合職一般社員、勤続1年以上の男女3000人)が、意外な実態を教えてくれる。
まず一般社員層の異動配置について「明確な方針がある」企業は35.0%にとどまっている。60%以上がたんなる慣例として異動を行なっている模様だ。異動をともなわないと人事ではないと考えているのだろうか。
一方、従業員側調査の分析結果より、異動経験は「社内知識形成」の知識面や 「成長志向」「学習意欲」「キャリア自律度」など個人の意識・行動面に正の影響を与えていることが示唆された。
さらに企業側調査の分析結果より、「異動配置(社内人材の流動性)」は「組織内の水平的コミュニケーション」を媒介し、 「事業・経営状況」に正の影響を与えていることが示唆された。
この結果を見る限り、人事異動は有効な手段である。明確な方針を定めて実施すれば、さらに正の影響を与えそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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