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自由に働く「高プロ」苦戦 3年で導入21社のみ、適用対象狭く

高い能力を持つ労働者を時間規制から外し、最大の成果を期待する「高度プロフェッショナル制度(高プロ制)」の普及が進まない。2019年4月に始まったが、今年3月末時点での実施企業は21社(22事業場)どまり。導入後、実質的に運用を中断した例もある。対象業務が少ない制度的な問題に加え、専門家は「働き手に自由な権限と裁量を与えることをためらう企業側の問題もある」とも指摘する。
建築技術コンサルティングの構造計画研究所は高プロ制の導入後、約1年で運用中断を決めた。同社の担当者は「自社のエンジニアリングコンサルタントと、高プロ制が定義する経営コンサルの仕事が一致しなかった」と話す。塩野義製薬は現在も制度を継続中だが、該当者はゼロ。「事例が少なく制度を評価するレベルにない」とする。
日本で高プロ制が導入されてから3年以上がたったが、厚生労働省によると導入したのは21年で対象者は665人にすぎない。(日本経済新聞 10月10日)

 高度プロフェッショナル制度の対象は一般社員で年収用件が1075万円以上。対象職種は①金融商品の開発業務②ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラー③証券アナリスト業務④コンサルタント業務⑤メーカーや製薬の研究開発職。以上の5分野である。
 制度の導入は煩雑だ。▽「労使委員会」を設置する▽「労使委員会」で対象業務、対象労働者の範囲、健康管理時間の把握、休日の確保、健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置などを決議する▽決議を労働基準監督署に届け出る▽対象労働者の同意を書面で得る▽対象労働者を対象業務に就かせる――などの手続きを踏む。
 制度の導入企業が思いのほか少ないのは、対象社員はごく一部なのに、これだけの手続きに手間をかけるのは割に合わない。そう考える企業が多いからではないだろうか。しかも、この制度を導入しなければ、対象職種の社員が成果を出せないわけではないという判断もあるだろう。
 ただ、制度を適用された社員からの評判は良いようで、厚生労働省の調査では87.7%が「満足」と回答した。自営業者のような感覚で働けることが満足につながっているようだ。
 ITエンジニアは対象職種に加わっていないが、特別待遇で年収要件をクリアしている社員が多いうえに、現行の5職種と就業形態は近い。
制職種の追加対象として検討したらどうだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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