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全日空、3年ぶり冬ボーナス支給へ

全日本空輸は5日、冬の賞与を月給2か月分とする支給方針案を労働組合側に示した。旅客需要の回復を踏まえたもので、冬の賞与が支給されれば2019年以来、3年ぶりとなる。  経営側は同日、期末に支給する業績連動型の賞与を最大1か月分とする案も併せて提示した。1か月分とした今夏の賞与と合わせると、年間支給額は最大4か月分となり、コロナ禍前の19年度(月給4・5か月分)に迫る水準だ。  全日空を傘下に持つANAホールディングスは、23年3月期連結決算で3期ぶりの黒字転換を見込む。国内線の需要が回復しているほか、国際線も水際対策の緩和で訪日外国人客の戻りが期待される。  全日空はコロナ禍でも雇用を守るため、賞与支給凍結など人件費の削減を進めてきた。この間、中堅・若手の離職が相次ぎ、社員の定着に向けた賃金の回復が課題となっていた。(読売新聞オンライン 10月5日)

 すでに国家公務員の今年冬のボーナスが2・25カ月分と発表され、年間では昨年4・30カ月分から4・40カ月分へと0・10か月分アップした。民間企業の動向を踏まえた措置だが、民間企業のボーナスも物価高を背景に、前年比増のニュースがこれから続々と報道されていくに違いない。  冬のボーナスが前年並みでは社員の士気が上がらず、さらに前年以下になれば士気の低下が避けられまい。  ただ、中小企業にはコロナ対策のゼロゼロ融資の返済に迫られ、ボーナス資金を確保できない例も多いはずだ。ゼロゼロ融資の総額は42兆円にもおよび、経営破綻が先延ばしされた企業は、いよいよ崖っぷちに追い込まれる。新しい資本主義どころではない。  ゼロゼロ融資で延命した企業は、新しい資本主義の対象に入っていない。DX導入や社員のリスキリングどころではない。  年末はボーナス増の話題だけでなく、倒産ニュースも頻発して、明暗が顕著に分かれるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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