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徳島県警の10署窓口業務、受付時間短縮 長時間労働見直しで試行へ

徳島県警は、県内の警察署10署での窓口業務の受付時間を、11月1日から試験的に短縮する。午前8時半~午後5時15分としていた現行の受付時間を、午前9時~午後4時にする。支障がなければ来年4月1日から本格実施する予定。
 時短対象の窓口業務は、自動車保管場所証明や道路使用許可などの申請、遺失物の返還など約30業務。県警によると、現在は署員が終業間際に受け付けた窓口業務を残業して対応するなどしている。今回の措置で署員の長時間労働を見直すとともに、夕方に発生することが多い交通事故の防止活動などに人員を充てて対策を強化する狙いもある。
 昨年度に受け付けた自動車保管場所証明の申請件数のうち、午後4~5時15分に受けた件数は3・3%にとどまることから、時間短縮による県民への影響は少ないとみているという。(朝日新聞デジタル 10月1日)

 長時間労働の是正策として労働時間の総量規制だけでは不十分だ。休職時間を確保する仕組みとの併用が不可欠で、その仕組みが勤務間インターバル制度である。1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、休息時間を確保する。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成30年7月6日公布)によって労働時間等設定改善法が改正され、勤務間インターバル制度導入が企業の努力義務になった。
勤務間インターバル時間について、EUでは労働指令で11時間と規定されているが、努力義務にとどまっている日本では規定はない。ただ、厚生労働省が導入促進のために運用している補助金制度では、次の要件が設けられている。
<事業主が事業実施計画において指定したすべての事業場において、休息時間数が「9時間以上11時間未満」または「11時間以上」の勤務間インターバルを導入し、定着を図ること>
 さらに補助を受けるには①労務管理担当者に対する研修②労働者に対する研修、周知・啓発 ③ 外部専門家によるコンサルティング④就業規則・労使協定等の作成・変更⑤人材確保に向けた取組⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用 機器――などのいずれかを実施しなければならない。
 補助金の適用はともかく、労働者の健康悪化は生産性低下を引き起こし、労働力不足に拍車をかけてしまう。勤務間インターバル制度の導入は焦眉の急である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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