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昨年の民間平均給与443万円 3年ぶり増、コロナ前の水準に

国税庁は28日、民間企業で働く会社員やパート従業員らを対象にした民間給与実態統計調査の結果を発表した。2021年の平均給与は443万円(前年比2・4%増)で3年ぶりに増加。新型コロナウイルスの感染拡大前の水準に回復した。コロナの影響を受けた企業の業績がある程度持ち直し、給与に反映されたことなどが要因とみられる。
 平均給与の男女別では、男性が545万円(同2・5%増)、女性は302万円(同3・2%増)。女性は男女別の調査を始めた1978年以降の最高額で、初めて300万円を超えた。男女を合わせた正社員の平均給与は508万円、パートやアルバイトなど正社員以外の人の平均給与は198万円。両者の給与の差は310万円で、縮小傾向にあるという。  
また、平均賞与は67万円(同3・1%増)で、こちらも2年ぶりに増加に転じた。宿泊・飲食業(同14・2%増)やサービス業(同13・1%増)など、コロナ禍で売り上げが落ち込んだとみられる業種の増加率が特に大きかった。(朝日新聞デジタル 9月28日)

 物価上昇にともない賃金を引き上げる企業がつづいているが、賃上げができるのは一部の企業に限られるだろう。
 それにしても賃金格差は顕著だ。東京商工リサーチの調査によると、2021年度の上場3213社の平均年間給与は605万5000円。前年度比1.7%、10万4000円の増加となった。平均給与が増加するのは3年ぶりとはいえ、民間企業平均に比べて160万円高い。
 上位企業の年収も確認しておきたい。平均年収トップは、M&Aキャピタルパートナーズ(M&A仲介)の2688万4000円。前年度比18.4%増で、14年度から8年連続でトップである。トップ10の半分は総合商社だったが、総合商社の年収は昭和の時代からトップクラスだった。
平均年収のレンジは、最多が「500万円以上600万円未満」、次いで「600万円以上700万円未満]783社。平均給与1000万以上は前年度から8社増えて57社だった。
賃上げ余力がある上場企業は来春の賃上げに弾みをつけるだろうから、たぶん来年度の調査では、民間企業平均と上場企業平均の格差はさらに開く。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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