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最低賃金改定、半数以上が「最低賃金アップ受け、賃金を引き上げる」

エン・ジャパンが運営する人事向け総合情報サイト『人事のミカタ』上でサイトを利用している企業の人事担当者を対象に「最低賃金改定」についてアンケート調査を行ない、432社から回答を得た。  「2022年10月より、最低賃金(時給)が”31円程度”引き上げられ、過去最高額になることをご存じですか?」に対して、95%が「知っている」(よく知っている:62%、概要だけは知っている:33%)と回答した。「知っている」と回答した企業に、「2022年10月の最低賃金アップを受け、貴社では給与を変動させますか?」と質問したところ、55%が「賃金を引き上げる」だった。 55%のうち「最低賃金を下回るため、最低賃金額まで賃金を引き上げる」が24%、「最低賃金を下回るため、最低賃金額を超えて賃金を引き上げる」が17%、「最低賃金は上回っているが、賃金を引き上げる」が14%だった。 業種別でみると最低賃金を下回っており、かつ賃金を引き上げると回答したのは、「流通・小売関連」(50%)がトップだった。(エン・ジャパン作成プレスリリースを要約 9月22日)

 各分野で原材料価格が上昇しているタイミングでの最低賃金引き上げについて、企業側はどのように受け止めているのだろうか。この調査結果をもう少し追いかけてみたい。 最低賃金引き上げにともなう負担や影響度について、64%が「負担になっている」そのうち「大いに負担になっている」が23%、「多少は負担になっている」が41%と回答した。 サービス関連企業(従業員300~999名)担当者は「人件費増加は否めないが、人材確保の面からはプラスの面もあると思う」とコメント。メーカー(1000名以上)担当者は「経営は圧迫するが、低賃金を理由に退職者が発生しているから必要」と人材流出を防ぐ切羽詰まった動機を述べた。 負担を受け入れながらも賃金を引き上げたのは、むろん社員対策で、人材の確保・採用や社員のモチベーション向上などを意図している。ただ、商社(30~49名)担当者は「最低賃金アップは良いが、全体の賃金が上がるわけでなく、一部にしか効果がない」と指摘した。 今後も最低賃金を引き上げるべきなのかどうか。「引き上げるべき」(37%)の一方で、「職種別の最低賃金設定など柔軟な制度を導入すべき」(34%)という回答もあった。この回答はジョブ型人事制度を想定しているが、職種別にメリハリをつけることで総人件費を抑制したいという意図も見え隠れする。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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