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ビックカメラがIT子会社設立を正式発表

ビックカメラは2022年9月15日、ITエンジニア採用のための新会社を同日付で立ち上

げたと正式に発表した。エンジニアを200人規模で採用し、システム内製に舵(かじ)を切る方針だ。
新会社は「ビックデジタルファーム」。資本金は5000万円で、ビックカメラの100%子会社となる。社長にはビックカメラの野原昌崇執行役員デジタル戦略部長が就いた。ビックデジタルファームはITエンジニア市場に合わせた給与水準を用意したほか、リモート勤務やフレックス制度など、エンジニアが働きやすい人事制度を整えた。
 ビックカメラは新会社を通じて「5年以内にITエンジニア200人の採用を目指す方針だ」(野原執行役員)。初年度(2023年8月期)末までに50人ほどを採用する計画だが、新会社設立前の2022年5月から先んじて採用活動を始めており、すでに20人を採用済み。「残り1年で30人ほど(の採用)を計画するが、採用活動は非常に順調だ」(同)。(日経XTECH 9月15日)

 IT人材確保の目的はDX経営の推進だが、デジタル機器を販売するビッグカメラは、みずからもデジタル先進企業に進化しなければ恰好がつかないのではないだろうか。デジタル先進企業でないと店舗での商品説明に説得力を失いかねない。そんな時代になった。
 同社は「DX 宣言」を発表している。「OMO 戦略」と「基幹システム・ダウンサイジング」をそれぞれ「システム内製組織の組成」で推進していくこと、システム内製化においては「Salesforce Lightning Platform」「アマゾン ウェブ サービ ス」をプラットフォームとして採用することを発表した。
ビックデジタルファーム設立は、このシステム内製化に向けた DX 人材採用を加速させ、「DX 宣言」 の早期実現を図る措置である。
 ただ、公開情報によると、ビックカメラの平均年収は439万円(平均年齢35.1歳)。日本の給与所得者の平均年収と同水準だから、高くもなく低くもないが、有能なIT人材の確保には程遠い水準だ。そこでビックデジタルファームでは賃金水準を上げるという発表だが、本体とのバランスをどう図っていくのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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