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副業支援、好循環生む かわいい社員には越境させよ

キリンビバレッジで関西エリアの営業を担当する奥田亜芸良氏は、平日の早朝や夜にコーチングの副業に励む。個人客とオンラインで約1時間対話し、その人が心の底からやりたいと思うことを見つけ、目標達成へアドバイスしていく。
他人の挑戦や成長を手伝うことに関心があり、コーチングの技術は自己学習で身につけた。副業でやりがいを感じるうちに本業との向き合い方にも変化が生まれた。「営業の立場でコーチングをどう発揮できるか真剣に考えるようになった」という。
得意先との関係構築や商談の組み立て方など、自分の営業プロセスを細かく開示し、後輩らのためにマニュアルを作成した。
(中略)
自らのスキル向上や視野を広げるために副業を希望する働き手は多い。一方、経営側は「本業がおろそかにならないか」「転職につながるのではないか」などと考え、副業容認に二の足を踏みがちだ。
(日本経済新聞 9月5日)

 副業について「骨太の方針2022」は推進を提言している。
<ポストコロナの「新しい日常」に対応した多様な働き方の普及を図るため、時間や場所 を有効に活用できる良質なテレワークを促進する。労働移動の円滑化も視野に入れながら、 労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を促進する観点から副業・兼業を推進 するほか、選択的週休3日制度については、子育て、介護等での活用、地方兼業での活用 が考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促進し、普及を図る>
 だが、いまもなお副業を禁じている企業が多い。一方、社員は副業をどう考えているのだろうか。Job総研による『2022年 副業・兼業に関する実態調査』(対象・663人の社会人男女)には肯定するコメントだけでなく、否定するコメントも集まった。
 肯定派は「今の会社ではできない経験ができるからスキルアップのためにも挑戦してみたい」「本業だけの収入では毎月ギリギリなので心に余裕を持たせるためにも生活を安定させたい」とコメントした。
一方の否定派は「時間給で副業経験ありですが両立に疲れて本業に悪い影響が出て続かなかった」「副業をする時間があったらプライベートの時間を充実させたい」「 収入を得る代わりに時間は割かれるので、心を休める時間を優先する」とコメント。
肯定派は収入増、否定派はプライベートの充実。いずれも会社側の思惑と異っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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