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NTTが「脱・年功序列」、20代でも管理職に

NTTグループは、管理職以外の社員の人事制度を見直す方針を決めた。昇格に必要な勤務期間を廃止し、評価が高ければ早期の昇格ができるようにする。現在は入社から管理職(課長級)に就くまで15年程度かかるのが一般的だが、新制度では20歳代で管理職に就くことが可能になる。
 「脱・年功序列」を進め、専門性の高い人材の育成や確保を目指す。
 26日に労働組合側と新制度の導入で合意した。持ち株会社のNTT、傘下のNTTドコモ、NTT東日本、西日本など主要会社の約6万5000人を対象に、2023年4月からスタートする。将来的にはグループ企業で働く約11万5000人へ拡大する方針だ。
 NTTグループでは現在、昇格には3年程度同じ等級で勤務することが必要になるが、これをなくす。評価基準の見直しでは、「マーケティング」「開発エンジニア」「財務」など18の専門分野を設定する。それぞれ6段階の等級を用意し、社員の専門性の獲得や発揮の度合いなどで昇格する仕組みとする。
(読売新聞オンライン 8月26日)

若手社員の出世志向が低下して久しい。重荷を背負うだけで割に合わず、どん欲に働くのなら出世よりも、起業やキャリアップ型転職に関心が向かうようになったと聞く。
人材育成サービスのラーニングエージェンシーが2022年入社の新入社員3659人を対象に実施した「新入社員意識調査」で、将来会社で担いたい役割を尋ねたところ、来会社で担いたい役割「リーダー志向」が過去最低値を記録した。
 あるいはパーソル総合研究所が2022年8月に発表した「過去6年間の20代社員像」では、現在の会社で管理職になりたい人の割合は男性20〜30代で微減。女性20〜24歳では増加傾向にあり、222年には24%が管理職になりたいと回答した。
 取締役への女性が喫緊の課題になっている時勢だけに、女性の管理職志向も向上している。将来の幹部人材として女性のほうが期待できそうだ。
 パーソル総合研究所は20代社員について「企業に対しては成長機会を求める意識が高まっている。その成長が意味するのは、社内での出世というよりも、転職・独立も視野に入れた、他社でも通用するポータブルスキルを得ることだろう」と分析する。
 NTTで20代の管理職が誕生したら、その社員は外資系企業から高額な報酬でスカウトの声がかかる。どのぐらいの年月にわたってNTTに貢献するかはともかく、本人にとっては貴重なキャリアップのチャンスだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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