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日本製鉄、学び直しに3年休職制度 博士号取得を後押し

日本製鉄はリスキリング(学び直し)を進める社員に対し、最長3年間の休職を認める制度を始めた。博士号の取得などを視野に入れた制度で、社員は大学院などに通いやすくなる。世界に比べて遅れていた日本企業の学び直しの選択肢が多様になってきた。
国内製造業の代表格である日鉄が長期の休職制度を設けることで、産業界全体の学び直しが加速する可能性がある。
日鉄は2022年度、最長3年の休職を認める新制度を採り入れた。これまでも会社側が必要資金を負担する形の留学制度はあったが、対象社員数は限られていた。新制度はより幅広い社員が対象になる。休職中は無給だが、意欲のある社員が学び直ししやすくなる。
高齢化などを背景に定年年齢は上がっている。新制度では学び直し後も日鉄本体で働いてもらうことを前提としつつ、長期のキャリア形成にも役立ててもらう。全社員を原則対象とするが、業務と無関係の学問分野など休職が認められない場合もある。
 日本総合研究所の安井洋輔氏によると、国内企業による学び直し向けの休職制度は最長2年が多く、こうした動きも一部にとどまる。(日本経済新聞 8月15日)

 50代の会社員は「働かないオジサン」と呼ばれているそうだが、65歳まで雇用しつづける時代にあって、赤字社員を黒字社員に転化させることが急務だ。
 学び直しには政府も動き出した。厚生労働省は教育訓練給付制度を運用して、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部を支給している。対象の教育訓練は約1万4000講座で、オンラインで受講できる講座や、夜間・土日に受講できる講座もある。
 対象講座は、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3分野。専門実践教育訓練は最大で受講費用の70%(年間上限56万円・最長4年)を受講者に支給する。対象講座は、介護福祉士、社会福祉士、看護師、美容師、歯科衛生士、 保育士、調理師 など業務独占資格などの取得を目標とする講座 、デジタル関係の講座、大学院・大学などの課程 ・専門職大学院の課程(MBA、法科大学院、教職大学院 )など。
特定一般教育訓練 は受講費用の40% (上限20万円) を受講者に支給し、介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、税理士などの講座が対象となる。さらに一般教育訓練として、受講費用の20% (上限10万円) を受講者に支給する。対象は、英語検定、簿記検定、ITパスポート などの講座である。
この制度をどれだけの就労者が知っているだろうか。省庁のサイトを検索するという習慣はないだろうが、省庁が広報しない制度のなかには使い勝手の良い制度もあるので、こまめに検索したほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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