Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

働く人が足りず…飲食店でもコンビニでも休業 コロナ第7波が影響

新型コロナウイルスの「第7波」の影響が経済に広がっている。人手のやりくりが難しくなり、外食チェーンなどでは一時休業が目立つ。感染増を警戒したキャンセルもあり、3年ぶりに行動制限のない夏を迎え客足の回復を期待していた関係者はショックを隠せない。トヨタ自動車の工場のラインが一時止まるなど、生産活動にも波及している。
感染者や濃厚接触者が急増し、外食チェーンなどでは人手不足が深刻だ。消毒作業もあって一時的に休業する店は多い。  
大手のカフェや牛丼、居酒屋チェーンでは、一部の店で休業している。カフェ「スターバックスコーヒー」はホームページで休業店舗を公開している。従業員の感染で8月は約30店が一時閉じた。大半の店は数日で営業再開している。広報担当者は「人手が足りず営業時間を短縮している店もある」としている。  
日本マクドナルドによると、一時的に営業停止したのは6月は6店舗だったが、7月は80店舗以上に増加。8月は12日までで40店舗以上が停止した。大半が数時間程度の停止で、消毒を徹底し営業を再開しているため、利用客への影響は限定的だという。
(朝日新聞デジタル 8月13日)

すかいらーくホールディングスはファミリーレストラン「ガスト」や「ステーキガスト」など約100店舗を閉店すると発表したが、外食市況はどう推移しているのだろうか。
日本フードサービス協会が実施した「外食産業市場動向調査」(2022年6月度)は、次のように分析している。
6月は、昨年とは違い大都市圏でも「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」の適用がなく、外食産業の全体売上は前年同月比119.9%。夜遅い時間帯の集客は依然として弱いも の、「昼の時間帯」「家族客」「土日休日」を中心に客足の好調が継続した。
外食店舗は徐々に営業時間 をコロナ前に戻すなど、売上はコロナ前の19年比で93.1%にまで戻ったが、パブ・居酒屋業態では19年比58.3%と依然苦戦が続いている。
だが緊急事態宣言下で外食業界を離れた人たちが、ふたたび元の業界に戻ってくるかどうか。見通しは厳しいのではないか。外食業界の従業員は、多くは店舗勤務である。エッセンシャルワーカーとして感染リスクにさらされながら働く過酷さを経験して、おのずと他業界への就職を選ぶ傾向にあるのかもしれない。
一方、外食産業では、ITや新規出店の担当者を異業種から採用する例が増えてきた。
 パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」の調査(調査時期は2020年1月~12月末および21年1月~12月末)によると、「インターネット・広告・メディア」からの採用が約4.6%アップ、「建設・プラント・不動産」からの採用が約3.4%アップした。
大手チェーンのように、オーダーから支払いまでデジタル化すれば、客と従業員とのリアルなコミュニケーションは消失する。ホスピタリティの概念も変化し、対人コミュニケーション以外の接客業務に評価の対象が移ってゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。