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副業率、若年女性は2割迫る 中高年は広がり欠く

多様な働き方や柔軟なキャリア形成を認めなければ働き手の力を十分には引き出せない。2022年度の経済財政白書は副業・兼業を人材活用の重要な課題の一つとして取り上げた。若年女性は新型コロナウイルス禍前の19年に2割弱が取り組むなど、徐々に浸透しつつある。全体は広がりを欠く。休息時間の減少、情報漏洩のリスクなどが課題だ。
内閣府がリクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」の個票を集計したところ、29歳以下は19年時点で男性は15%、女性は18%が副業・兼業をしていた。この率は年齢が上がるほど下がる傾向にある。
副業・兼業からの年収は50歳男性で80万円を超えるなど、年齢が上がるほど高まる傾向があった。もともと管理職として働く人が同様の仕事をしていることなどが考えられる。
経験者が実感する効果を聞くと収入だけでなく、新しい知識やスキルの獲得、仕事のやりがいなどの回答も多かった。受け入れた企業側からは、社内にはない知識やスキルを持つ人材の確保、人手不足の解消の効果が多く挙がった。(日本経済新聞 8月10日)

副業希望者が増え、副業に関する調査も相次いで実施されている。
エン・ジャパンが運営する「エン転職」が2022年7月に実施した調査(対象・1万378名)によると、60%が「副業を希望している」と回答し、コロナ禍を経て11ポイント増加した。
副業を希望している理由の9割は「収入を増やしたい」。現行の賃金では十分ではないと考えている。産業界全体で従来以上の賃上げに着手する流れにあるが、副業を必要としない水準への賃上げまでは期待できないから、勤務先が大幅に賃上げしても、副業の意向に影響をおよぼすことはない。
希望している副業収入額は「月3万円~5万円未満」が最多。実際に副業経験があるのは30%だった。
 副業の内容についての調査結果も発表された。キャリアデザインセンターが22年2月に転職サイト「女の転職type」で実施した「副業」についての調査(対象・女性746人)では、副業の内容で最も多かったのは「販売・サービス職関連」で35.4%だった。
次いで「事務関連(データ入力、翻訳など)」(26.8%)、「制作関連(ライティング、デザイン、映像など)」(16.5%)、「アフィリエイト、アドセンス」(12.2%)という順になった。「販売・サービス職関連」を除くと、時間と場所を自由に設定できる業務である。
副業で得た月収入は、1位は「1〜4万円」(53.8%)、2位は「5〜9万円」(28.1%)、3位は「10〜19万円」(7.2%)。平均6.万2000万円は、「エン転職」調査で出た希望額「月3万円~5万円未満」を上回っている。
副業マーケットには、希望通りの収入を得られるという実態があるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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