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NTTデータ、管理職3000人ジョブ型に DX事業に対応

NTTデータは7月から本社の管理職、約3000人を対象にジョブ型雇用を導入した。デジタルトランスフォーメーション(DX)案件など、従来と異なる管理手法が求められる状況に対応した。年齢にとらわれない柔軟な配置で、優秀な人材をつなぎとめる。
管理職はこれまで課長と部長、事業部長の大きく3段階で定義していた。官公庁向けの大規模案件などの事業を想定した役職構成だ。
しかしここに来て、管理職に求められるマネジメントスタイルが多様化してきた。企業のDXを支援する事業の管理職には失敗を恐れずに挑戦する姿勢が問われ、先進技術を扱う組織では管理職にも技術力が必要になってきた。
従来の組織では評価しにくかったスタイルを、ジョブディスクリプション(職務定義書、JD)で定義して相応の処遇で報いる。人材市場を調査して他社に見劣りしない報酬を設定し優秀な人材をつなぎとめる。
(日本経済新聞 8月5日)

ジョブ型雇用の導入はもはや国策である。「骨太の方針2022」は多様な働き方の推進にジョブ型雇用を入れて、次のように方針を掲げている。
「人的資本投資の取組とともに、働く人のエンゲージメント4 と生産性を高めていくことを 目指して働き方改革を進め、働く人の個々のニーズに基づいてジョブ型の雇用形態を始め 多様な働き方を選択でき、活躍できる環境の整備に取り組む。」
 さらに、その具体策として「就業場所・業務の変更の範囲の明示など、労働契約関係の明確化に取り組む」を付言する。
 ただ、ジョブ型雇用の導入は、メンバーシップ型からジョブ型への移行という極端な流れではない。2つの雇用形態のバランスを示したのは経団連の「2020年版・経営労働政策特別委員会報告」である。
「メンバーシップ型社員を中心に据えながら、ジョブ型社員が一層活躍できるような複線型の制度を構築・拡充していくことが、今後の方向性」と示したうえで①最先端のデジタル技術などの分野で優れた能力・スキルを有する高度人材に対して、市場価値も勘案し通常とは異なる処遇を提示してジョブ型の採用を行う②仕事や役割および貢献度と賃金水準との整合性を高めるべくジョブ型社員には職務給や仕事給、役割給の適用を検討する③メンバーシップ型とジョブ型社員の双方から、経営トップ層へ登用していく実績をつくり、自社における複線型のキャリア発展空間を感じてもらう――などの指針を挙げている。
ジョブ型の導入が進んでいても、まだまだ人事のベースはメンバーシップ型である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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