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技能実習制度、本格見直しへ 政府、有識者会議で議論

古川禎久法相は29日の閣議後記者会見で、外国人技能実習制度の本格的な見直しに乗り出す考えを表明した。実習先で暴行を受けるなど人権侵害が後を絶たないといった問題点を挙げ「制度の趣旨と運用実態が乖離せず、整合する」ことが必要だと強調した。政府は年内にも有識者会議を設け、具体的な制度改正に向けた議論を進める方針。
 古川氏は今年2月から勉強会を開き、専門家や外国人支援団体の代表ら10人超から意見聴取。「人づくりによる国際貢献という制度の目的と、人手不足を補う労働力として扱う実態が乖離している」と指摘されたという。会見で「長年の課題を歴史的決着に導きたい」とした。
(共同通信 7月29日)

 技能実習制度に介護職が追加されて以降、介護業界では実習生活用をテーマに多くのシンポジウムやセミナーが開かれている。下記のような発言が出て、参加者たちがいっせいに頷くシーンを何度か目にした。
「介護業界の人たちは心がやさしいから、一般企業のように虐待やブラック労働は起きないだろう。介護施設で実習生の受け入れが進むことで、技能実習制度のイメージが良くなるのではなだろうか」
 自業界を自画自賛する気持ちはわからなくもないが、違和感を禁じ得なかった。かりに介護施設での実習状況が軒並み健全でも、制度のイメージに何かしらの影響を及ぼせるような簡単な問題ではないのだ。
 海外では人身売買とみなされている技能実習制度の闇は、制度がつづく限り解決しない。制度を根底から見直す以外にないが、新制度への移行には5年程度を要するらしい。新規の受け入れが滞れば、人手不足はさらに深刻化してゆく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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