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サイボウズ、インフレ特別手当を社員に支給

サイボウズは、昨今の世界的なインフレ傾向を踏まえ、インフレ特別手当を社員に支給することにしたと発表した。
 多くの国や地域で物価高が急激に進んでいることから、日本およびグローバル拠点の、サイボウズと直接雇用契約を結ぶ社員(無期・有期雇用ともに)に対し、7~8月間に特別一時金の形で支給するという。
 2022年に入り、電気代や食料品、生活用品など、生活の基盤となる分野での価格上昇が世界的に進んでいる。この急激なインフレ傾向に際し、日本およびグローバル拠点のサイボウズ社員が生活に不安を抱くことなく業務を行えるよう、インフレ特別手当を支給することにしたとのことだ。
サイボウズの給与改定は一部の拠点を除き、基本的に毎年1月に実施しているが、今回インフレへの早急な対応が必要と判断し、特別一時金の形で支給するという。
支給額は、各種情報を参照したうえで、各国・地域のサイボウズの給与、インフレによる影響額、税金、社会保険負担等も加味して決定(AMPNews 7月13日)

サイボウズは、テレワーク、再入社、副業などをいち早く導入して、働きやすさを追い求めてきた。インフレ特別手当の支給もサイボウズならではの取り組みだ。
インフレ特別手当の対象者は、支給対象拠点に支給日に在籍かつ支給日以降に勤務する直接雇用メンバー(無期・有期雇用ともに)。支給時期は7~8月間に1回。
支給額は月の就業時間に応じて決定される。国内の場合、128時間超/月(8時間/日で週4日超勤務)は15万円 、96時間超128時間以下/月(8時間/日で週3日超勤務)は12万円、64時間超96時間以下/月(8時間/日で週2日超勤務)は9万円 、64時間以下/月(8時間/日で週2日以下勤務)は6万円
海外拠点は、各拠点で金額を決定し、支給する。
サイボウズは、インフレ特別手当支給までの検討フロー を次のように開示している。
この6月、サイボウズの拠点がある国々でインフレが起き、メンバーの生活不安にどのような対応ができるかが議論され、給与改定は1月が基本のため、約7ヶ月間インフレへの不安を抱きながら業務しなくてはいけない状態を払拭する方針が固まった。
対応策として、月給の「〇%」を特別賞与とする案、「〇%」を一律給与アップする案などが検討されたが、一律の割合で給与をアップさせる方法は、メンバー1人ひとり異なる月給の金額をもとに手当額が変わり、生活不安解消のコンセプトに合致しない。そこでインフレ特別手当として一定額の支給に決定したのである。
インフレ特別手当は従来の賃金体系にない概念だが、生活設計がぐらつけば社員は業務に専念しにくくなる。後につづく企業は現われるだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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