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社員の働きがい、役員賞与に反映

パナソニックホールディングス(HD)の自動車部品を手掛ける子会社、パナソニックオートモーティブシステムズ(PAS)は従業員約6千人のエンゲージメント(働きがい)が大きく改善すると、執行役員の年間賞与が増える制度を導入する。働きがいが悪化すると賞与は減る。経営幹部に働きがいを強く意識させ、従業員満足度の向上や業績改善につなげる。
2023年3月期から導入し、23年夏からの支給分で適用する。年間賞与は働きがいの改善度合いにより、百数十万円の範囲で変わる。米国法人トップを除き、社長を含む13人の執行役員が対象となる。
年間賞与の評価項目に、働きがいが改善していれば賞与の支給額を増やす。変化がなかったり、悪化したりすれば減らす。年間支給額の差は百数十万円になる場合もある。執行役員が職場の働きがいを改善し続ける動機にする。
(日本経済新聞 7月4日)

ある経営者によると、スタッフの働きがいを高めるには、担当業務の7割を本人の好きな業務を振り当て、同時に職場の人間関係を良好にすることがポイントだという。この経営者は人間関係を良好するにはワークライフバランスが重要だと付言する。本質を突いた見解だ。
良好な人間関係のなかで好きな仕事ができれば、誰しも働きがいを得られる。3年前に会社を設立した経営者は、朝礼でハラスメント行為の厳禁をたびたび説いているという。この会社は設立以降、業績が順調に伸びて社員は50名に増えた。だが、有力な幹部によるパワハラが発生し、部下が退職に追い込まれた。
経営者はこの幹部に対して、何度か注意していた。その都度、一時的には改まったが、ふたたび蛮行がぶり返し、とうとう部下の退職という事態が発生したため、幹部に退職を求めた。幹部は素直に辞表を出したという。
「余人をもって代えがたいような実力のある社員であっても、ハラスメントを大目に見てはいけない。私は独立前の会社員時代、パワハラがあると犠牲者が出て社内の空気が歪んでしまうことを経験している、だから、しつこいようだが、私は何度も注意している」
 勤務体制や人事評価制度、研修プログラム、福利厚生などを充実させても、ひとりの社員の蛮行によって台無しにされかねない。働きがいの向上にはハラスメントも注視しなければならない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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