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「いい加減にしろ!」と言いたい、上司・同僚・部下「困った会社の辞め方」

職というと「前職を辞めた理由」というものが必ずあるはず。その理由に注目していくと、男性では「定年・契約期間の満了」19.5%が最も多く、個人的理由に絞ると「給料等収入が少なかった」(7.4%)、「職場の人間関係が好ましくなかった」(7.1%)、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(6.6%)と続きます。女性でも「定年・契約期間の満了」15.3%と最も多く、個人的理由に絞ると「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(10.3%)、「職場の人間関係が好ましくなかった」(8.9%)、「給料等収入が少なかった」(6.6%)と続きます。 男性は金銭面、女性は職場の雰囲気や労働条件を重んじる傾向が強いことがみえてきますが、「辞める側」に不満があるように、「辞められる側」の不満というものがあります。 エン・ジャパン株式会社が「退職を伝えるタイミング」についてアンケート(n=10,420名)を実施したところ、「上司・同僚・部下などの社員が退職する際に『この進め方は良くない』『困った』と感じたことはありますか?」の問いに、34%が「ある」と回答。 その内容として最も多かったのが「退職日が急すぎる」で50%。確かに、「今日辞めます!」と言った人がいた、という逸話が残る会社は結構多いもの。(幻冬舎ゴールドライン 5月24日)

法律上は退職日の14日前までに会社に申し出ればよいのだが、最低でも1カ月前に申請するケースが多いのではないのか。新卒入社1~2年目ならともかく、よほど無責任な人物でない限り、退職するときには誰しも担当業務の引き継ぎを考える。 社内での引き継ぎだけでなく、取引先に対する引き継ぎが必要な場合、業務量にもよるが、1カ月は要するだろう。これが長いか短いかはケースバイケースだ。 退職を決意すれば、次の仕事が決まっていなくともサッサと身辺を整理して有給休暇の消化に入りたいものだ。まして不満や不信などを理由に退職する場合は、1日も早く縁を切りたいだろうが、職場側にとってはそうはいかない。 早急に後任を決め立て、引き継ぎを遅滞なく進められるかどうか。この一点を重視するので、退職者の事情など考慮の対象外になるのが通例である。だから、たとえ退職予定日の1カ月前に申し出ても「退職日が急すぎる」という受け止め方になりがちなのだ。 しかし「退職日が急すぎる」と受け止めても、後任の体制を固めるのは退職者の責任ではなく職場側の責任である。上司が「後任が決まるまでは辞められては困る」と圧をかけるのは筋違いで、後任が決まらなければ上司がその任を引き受けるべきなのだ。 部下をも持つ以上、その程度の覚悟は必要である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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