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東北大、239人雇い止めの恐れ 研究者ら非正規職員 22年度末

東北大の若手研究者ら非正規職員239人が2022年度末、労働契約法の特例で認められた有期雇用契約の通算10年に達することが分かった。東北大では17年度末に非正規約300人が雇い止めされており、無期雇用に転換されなければ、今回も大量の雇い止めが生じる可能性がある。
東北大によると、239人は21年12月時点の対象者数。内訳は常勤97人(教員89人など)、非常勤142人(学術研究員64人、技術補佐員76人など)。多くは30代前後の教員や研究者とみられる。  
13年施行の改正労働契約法は、労働者の保護と労働関係の安定を目的に、非正規の有期雇用が通算5年を超えた場合、労働者が希望すれば期間の定めなく働き続けられる無期雇用に転換できると定める。研究者や教員は特例で10年を超える場合とされた。
東北大は14年、非正規の就業規則改定で雇用期間の上限を通算で原則5年、研究職は原則10年と定め、13年4月にさかのぼって適用した。このため18年3月には、事務やパートなどの非正規約300人が無期雇用を申請できる直前、一斉に雇い止めされた。(河北新報 5月12日)

雇止めという言葉からは雇用側が理不尽に雇用を打ち切ったというイメージが喚起されるが、実態は雇用契約を延長しなかっただけではないのか。非正規雇用の研究者の雇用を延長しない人事に対しては、日本の科学技術発展に損失であるかのごとく批判する論調もあるが、この批判は飛躍しすぎである。
 そもそも非正規雇用であれば、期限満了時に雇用が打ち切られることは了解済みで、そのリスクを計算したうえで生活設計を組み立てているはずだ。
 この記事に対しては、次の書き込みがあった。
「この制度に該当していた人間として言わせていただきますと、元から「任期あり」という条件なのですから、そこで成果を挙げて、次に移るのが筋です。多くの人がそうやって業績を積んで、転出していくのですから、今回の対応は適切ですし、特に研究者が文句をいうのは間違うと思います。持っている能力があるなら、それを発揮して、次に移る努力をするべきです」
 その通りだが、次の職場が見つからないから、雇用打ち切りで往生してしまうのである。要は自分に市場価値がなければ正規雇用への道は開けない。正規雇用が狭き門である研究者も例外なら、なおさら研究実績を積んで市場価値を高めておく必要がある。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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