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新入社員の初任給、引き上げ相次ぐ 前向きな企業が4割超

新入社員の初任給を引き上げる企業が相次いでいる。コロナ禍の収束後を見据え、優秀な人材確保を意識した取り組みも目立つ。
大成建設は今春の新入社員の初任給を前年より1万円上げ、大卒は25万円、院卒は27万円とした。「建物やインフラの安全を守るためには技術職の確保が不可欠」と説明。建設業界では人手不足が慢性化しており、「業界としての魅力も高めたい」(広報)。鹿島も初任給を大卒、院卒ともに5千円上げる。  
警備大手のセコムも今春、初任給を一律3千円アップした。広報担当者は「コロナ後を見据えた。通信やセンサーを使った機械警備が主力になっており、研究開発など技術者を強化したかった」と話す。  
7年ぶりに初任給を引き上げたのは空調大手のダイキン工業。大卒は23万5千円と1万円アップ。広報担当者は「優秀層の人材を獲得するため」と話す。換気ができるエアコンの売り上げが好調。22年3月期決算は売上高、営業利益とも過去最高を見込んでいる。
(朝日新聞デジタル 4月25日)

仮想空間「メタバース」の普及にともない、ゲーム業界では人材争奪戦が激化して初任給も大幅に上がっている。
4月29日付け日本経済新聞によると、バンダイナムコエンターテインメンの初任給は前年度比約6万円増の29万円。既存社員の月収も上げなければバランスが取れないが、平均5万円上げた。カプコンは社員の基本年収を前年度比で平均30%上げる。
さらに3年前のデータだが、コンピューターエンターテインメント協会の調査では、国内のゲーム開発者の年収は19年に522万円で、5年間に約30万円増えたという。
岸田文雄政権による賃上げ要請の効果ではなく、競争原理が働いて大幅な賃上げが実施されている。ただ、ゲーム業界の賃上げは他業界には波及しないだろう。
賃上げの対象であるゲーム業界の就業者は、職種にもよるが、おしなべてデジタル人材である。デジタル格差が賃金格差をもたらしているのだ。「WEB3・0」の台頭とともに、この傾向は一層顕著になっていく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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