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ミドル転職、5年で2倍 雇用流動化に広がり 50歳未満は収入増

中高年の転職が活発になっている。41歳以上の転職者数は2020年度までの5年間で2倍に増え、若い年代より伸び率が大きい。新型コロナウイルス禍をへて企業が新たな成長事業の立ち上げを急ぐなか、経験が豊富な人材への需要が高まっている。即戦力となる中高年の流動化が進めば経済の活性化につながる。 東京都内に住む男性(44)は昨年、19年間勤めた大手出版社を退職した。デジタル関連の新規事業を担当していたが大企業の組織では自由に動けない不満があった。 一念発起しアプリ開発の企業に転職した。事業拡大中のスタートアップでベテランの実務経験を求めており、給与は前職と同水準を提示された。初めての転職だったものの「やりたい仕事ができて満足」という。 国内の転職は「35歳が限界」といわれてきた。年功序列的な要素が強い企業では、後から加わった中高年の活躍の場が限られているからだ。
(日本経済新聞 4月17日)

41歳以上の転職が増加している背景には管理職経験者が求められているからだが、40代は就職氷河期世代で、非正規労働者が多い。管理職層の手薄な世代である。中途採用社員に対して前職の賃金水準を保障する企業が多いのも、管理職層が売り手市場に転じたからだろう。 さらに40歳を過ぎればリストラ対象世代に入っていく。現職での昇進昇格の限界が見えてきて、新天地を求めてキャリアチェンジを図ろうとする動機が増える。給与水準が維持されれば転職へのエンジンがかかりやすい。 いまや定年は実質65歳になり、70歳まで勤務しつづける時代になった。公的年金の支給開始時期を遅らせるために、政府は70歳までの就労をさまざまに啓発していく。 40歳で向こう25年から30年を視野にキャリアを考えた場合、転職にリスクは付きものだが、現職でくすぶって人生の中盤を浪費するよりも新天地にかけたほうがベターという判断に至る。  70歳まで働くことを前提すれば、40歳はセカンドキャリアのスタート地点ともいえる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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