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就活、進む正常化 来春採用、対面回帰の動き

2023年春の新卒採用に向け、大手企業では新型コロナウイルス対策でオンラインに切り替えた面接を対面に戻す動きが広がりそうだ。
 時事通信が行った主要100社の採用計画調査では、前年にオンラインのみで選考した35社のうち、3割超が最終面接などを対面に変更すると回答。コロナ後の事業拡大をにらんで優秀な人材を囲い込むため、採用活動の正常化を進めて人柄を直接見極めようとしている。  「人となりが分かりやすい」。大手メーカーの関係者は顔を突き合わせる意義を強調する。前年はオンラインのみで採用活動を行ったIHIは、「表情や雰囲気が伝わりにくく、通信トラブルのリスクもある」と回答した。  
コロナ禍でやむなく採り入れたオンライン方式は、学生にとって「移動時間や費用を節約できる」(高島屋)といった恩恵があった。富士通は「特に関東以外に住む学生が参加しやすい」と分析している。
(時事通信 3月31日)

オンラインでのやりとりは便利だが、入手できる情報には限界がある。オンライン面接では応募者の全体感を把握できない。所作や表情が醸し出す雰囲気の有無は画面越しでは伝わりにくい。
雰囲気は測定できず、評価基準を明確にできる要素ではないが、自社の組織風土にマッチするかどうかを見極める決め手になる。面接官が雰囲気を感じ取るには対面が望ましい。 
地方の学生にとってはオンライン面接のほうが経済的でよいのだろうが、それでも会社を訪問して社員に面会しないと、空気を感じ取れる機会を得られない。
オンライン活用の推進策として、医療では今年4月の診療報酬改定で、オンライン診療に対して初診から保険点数が付く。だがオンライン診療では顔色を確認できず、触診もできない。入手できる情報に限界があるので、初診からオンライン診療をすると見過ごしてしまう病態が出てしまい、健康被害の発生も懸念されている。
オンラインと対面の使い分けが肝心である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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