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「ゆるい大企業」を去る若手たち。ホワイトすぎて離職?

「若手の離職率がどんどん上がっている。しかも、社内では優秀とされる若手が辞めるケースも多くて、離職のアラームを察知できない」(小売大手の人事担当者)
「社内のキャリアコンサルタントへの相談件数は、20代の若手社員が特に増えている。仕事を覚えるのに必死なはずの若手社員が、キャリアに悩むなんて……」(情報通信企業の人事担当者) こう嘆くのは、新卒採用では高い倍率を誇る大企業の社員たちだ。 高い倍率を勝ち抜いて大企業に入社した若手社員の間で、早期離職が増えているというという話をよく聞くようになった。
若手の離職と言えば、長時間の残業やパワハラが横行する「ブラック企業」が頭に浮かぶ。一方、大企業では、労働時間の縮減とコンプライアンスが徹底されている。 ではなぜ、若手社員は職場を去るのか? リクルートワークス研究所が大企業に勤める新入社員らを対象にした就労状況定量調査(2021年11月インターネットで実施、サンプルサイズ2680)などのデータを分析すると、「ゆるい職場」が、その一因になっている可能性があることが明らかになってきた。
(BUSINESS INSIDER 3月29日)

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2021年に発表した「初職が正社員であった離職者が初めての勤務先を辞めた理由」によると、離職理由は多い順に「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった」(38.0%)、「人間関係がよくなかった」(37.6%)、「仕事が自分に合わない」(32.3%)だった。
 このうち「仕事が自分に合わない」には、成長の機会を得られそうにないという漠然とした不安も含まれているだろう。ゆるい会社に入社すると、成長の機会損失という危機感を覚えて退職する人は、そもそもベンチャー企業に就職すべきだった。
 だが、ゆるい会社に入社したことで自分の志向性を認識できたのだから、あながち無駄な入社ではない。
厚生労働省が2021年に発表した調査結果では、大卒の約30%、高卒の約40%が入社3年以内に退職している。過去10年間、同様の傾向が見られるという。この数字をどこまで織り込んで人事が組まれているのだろうか。
4月1日には全国の企業が新入社員を迎えるが、3年以内に大卒の約30%、高卒の約40%が退職する。この現実を念頭に置いて迎えたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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