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2月の「後継者難」倒産は29件 「死亡」に続いて多い要因は?

東京商工リサーチは2022年2月における、「後継者難」倒産の状況調査を実施した。その結果、後継者不在に伴う倒産は29件であり、前年同月比31.8%増であること、2カ月連続で前年同月を上回っていることが分かった。
 まず2月の後継者不在に伴う「後継者難」倒産の件数を調査したところ、結果は29件(前年同月比31.8%増、前年同月22件)で、2カ月連続で前年同月を上回っていた。  なお「後継者難」倒産は負債1000万円以上の倒産全体(459件)の6.3%を占め、前年同月の4.9%から1.4ポイント上昇し、2月としては過去最高を記録した。
 次に「後継者難」倒産の件数を要因別に見ると、最も多いのは代表者などの「死亡」14件(前年同月比7.6%増、前年同月13件)だった。「後継者難」倒産に占める構成比は48.2%で、前年同月(59.0%)より10.8ポイント低下した。
次いで「体調不良」が12件(前年同月比140.0%増、構成比41.3%)、「高齢」が3件(前年同月比50.0%増、構成比10.3%)と続いた。
(ITmedia ビジネスオンライン 3月24日)

高齢化は社長の平均年齢にもおよんでいる。東京商工リサーチによると2020年時点で
全国の社長の平均年齢は62.49歳。この数字だけでは、さほど高齢化が進んでいるようにも見えないが、70代以上の構成比が31.8%である。
 もともと経営者には現役志向が強い。アクサ生命の『社長さん白書2018』によると「もし、ご勇退したとしたら、勇退後の生活をどのように過ごしたいですか?」の質問に対して、35%が「働き続ける(『社長は退いても、会社に残って仕事を続けたい』『別な事業を始めたい』など)」だった。
人生100年時代とか生涯現役時代などのスローガンに鼓舞されて、現役志向が加速される気運もある。だが、現役志向は後継体制の不在とセットであもる。
『社長さん白書2020』では①事業承継の方針について、5割強の経営者が事業承継の方針を「決めていない」②就業不能への対策の現状について、3割強の経営者が就業不能になった場合に備えて「対策を講じていない」――という問題を指摘している。
高齢の社長に対しては「立派」「若々しい」などの賛辞が贈られるのが通例で、あくまで社交辞令にすぎないのだが、当人の現役志向は一層喚起されていく。
 だが、東京商工リサーチの調査で、減収企業の社長は60代が48.8%、70代以上も48.1%を占め、赤字企業は70代以上が22.3%で最多だった。社長の年齢は業績に大きく影響しているが、オーナー社長に世代交代を勧告するのは難しい。勧告すれば依怙地になって、ますます権限の強化に向かってしまうケースも少なくない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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