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看護師の処遇改善、支払の仕組みづくりの議論へ

中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)が3月23日に開いた総会で、看護の処遇改善を診療報酬で対応する施策について、技術的検討を進めていく必要があることから、 入院・外来医療等の調査・評価分科会で必要な調査・分析を行い、検討を進める方針が固まった。
看護師の処遇改善は、診療報酬改定率を決めた昨年末の鈴木俊一財務相と後藤茂之厚労相の大臣折衝事項で、看護の処遇改善のための特例的な対応として「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」及び「公的価格評価検討委員会中間整理」を踏まえ、コロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、10月以降収入を3%程度(月額平均1万2000円相当)引き上げるための仕組み創設が固まった。
処遇改善に当たっては、介護・障害福祉の処遇改善加算の仕組みを参考に、予算措置が確実に賃金に反映されるよう、適切な担保措置を講じる方針も大臣折衝事項に示された。
(独自作成 3月23日)

 看護の処遇改善を巡っては、対象医療機関には救急搬送件数が年200台以上などの要件が設けられ、それ以外の医療機関に勤務する看護師は対象から外されている。さらに看護師数や患者数などによって支給額の調整が必要で、仕組みづくりという技術的な課題が残されている。
 中医協総会で、池端幸彦委員(日本慢性期医療協会副会長)は、処遇改善対象の有無を懸念した。「診療報酬を取得できる病院と取得できない病院が生じ、病院間の格差につながる。これが第一歩目にとどまり、段階的に改善されるならよいが、固定化されれば病院の差別にもつながる」と指摘した。
 一方、診療報酬の支払側の立場から松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は「診療報酬による処遇改善では、病院ごとに必ず過不足が生じるが、一定程度は受け入れてもらう必要がある。看護配置のほか患者数も勘案した仕組みを考えるべきだ」と提言。看護師の立場から吉川久美子委員(日本看護協会常任理事)は「確実に看護職員の処遇改善に結びつくことを担保する仕掛けが必要だが、病院の負担増にも配慮してほしい」と要望した。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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