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1月の給与総額、0.9%増の27万4172円 緊急事態の反動で

厚生労働省が8日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、基本給や残業代を合わせた現金給与総額は前年同月比0・9%増の27万4172円で、2カ月ぶりに増加した。一部地域で新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言が出され、落ち込んだ2021年1月の反動増とみられる。中でも、主にボーナスが占める「特別に支払われた給与」が7・6%増えた。
 物価の影響を考慮した実質賃金も0・4%増と5カ月ぶりに増加した。4月に公表する1月確報分から、物価の基準となる消費者物価指数の算出方法などが切り替わるため、今後、数値が変わる可能性がある。
(毎日新聞 3月8日)

今年、賃金を巡って焦点になる職種は、看護職、介護職、保育士である。岸田文雄政権の「成長と分配」で分配の対象として示されたのが、この3職種の処遇改善だ。
 介護職については、すでに介護報酬に処遇改善加算が導入され、賃金のテコ入れが行われているが、それでも多くの介護職にとって納得のできる水準に達していない。
医療・福祉人材紹介事業などを手がけるトライトグループ(大阪市)が介護職を対象に昨年12月に実施した調査によると、現在の年収について「不満」が51.2%。最も多い理由は「業務量に見合っていない」だった。
介護職の平均年収が全産業平均よりも約100万円低いが、財源となる介護報酬は抑制される見通しにある。
介護報酬の改定率は診療報酬の改定率よりも低いのが通例だ。2022年度診療報酬の改定率は本体が0・43%のプラス改定だが、昨年、財政制度等審議会は「躊躇なくマイナス改定」と主張した。その後、これまでの改定と同様に政治決着のような流れでプラス改定に至ったのだが、次の24年度改定では財政当局は一層厳しく切り込んでくるはずだ。
24年度には同時に介護報酬も改定される。診療報酬が引き締められれば介護報酬も引きずられ、介護職の処遇改善にも暗雲が立ち込めるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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