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電機大手、「ジョブ型」加速 一般社員に拡大、人材獲得激化

日立製作所や富士通など電機大手が、職務内容を明確化する「ジョブ型」の人事制度の導入を管理職から一般社員へと加速させている。  デジタル化の進展や海外事業の拡大など経営環境が大きく変化する中、旧来の日本型雇用では、激化する海外企業との人材獲得競争を勝ち抜けないためだ。今週から労使交渉が本格化する春闘でも論点になりそうだ。   ジョブ型の人事制度では、各ポストに必要な知識や経験、能力、資格を職務記述書に明記。これに当てはまる人材を年齢にかかわらず起用するのが特徴だ。社内外から専門性や意欲のある人材を集めやすくなる利点がある。   日立はリーマン・ショック後の決算での巨額赤字計上を受け、事業構造の転換とともに人事制度の変革に着手。今ではグループ37万人の従業員のうち21万人が海外社員だ。中畑英信執行役専務は「新卒一括採用や年功序列の人事制度では、多様な人材が(日立に)入ってこない」と日本型の課題を指摘する。
(時事通信 2月17日)  

ジョブ型人事が加速すれば、会社員は「個」として働かざるを得なくなっていく。勤務先の収支モデル転換で黒字リストラが平然と実施され、その対象は縮小する部門に限定される。 リスクヘッジとして副業は必須だろう。会社によっては副業に対して、異分野の知見を本業に反映させるなど教育効果を狙っているが、本人は生活防衛手段と考えることが現実的だ。 だが、副業を解禁している会社はまだ少ない。経団連が実施した「2020年 労働時間等実態調査」(回答491社)では、副業・兼業を「認めている」会社は22%に過ぎなかった。しかも業種による格差が大きい。 副業・兼業の解禁率は多い順に、情報通信業(52%)、電気・ガス・熱供給・水道業(30%) 金融業・保険業(24%)、卸売業・小売業(20%)、運輸業・郵便業(15%)、建設業(15%)、学術研究・専門・技術サービス業(10%)だった。情報通信業はリモートワークが定着しているので、副業環境も整っている。 企業規模別にみると、従業員数規模が大きい企業ほど、副業・兼業を認めている傾向が高い。給与水準もおしなべて企業規模に比例するので、副業の可否によって、大手企業と中小企業では社員の収入格差がいちだんと開いている。 副業が解禁された大手企業の社員は、中小企業の社員に比べて「個」として経済的に自立しやすい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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