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転職市場、50代の年収上昇

転職市場で50代の初年度年収が上昇している。中途採用の人材としては敬遠されがちな年齢層だが、市場の主力の30代前半までの即戦力を採用できない中堅・中小企業がベテランの大手企業出身者に食指を動かす。若年層を中心とした人手不足という労働市場の構造的な問題もミドル世代の求職者と即戦力を求める企業の利害を一致させ、転職市場の流動性を加速させる動力となっている。 人材サービス大手のエン・ジャパンによると、50代の転職決定時の初年度年収(中央値)は2021年は670万円だった。20年に比べ30万円高く、新型コロナウイルス前の19年比でも40万円(6・3%)上がった。一方、全体の平均は21年が540万円と20年比で5万円(0・9%)上昇したが、19年比では横ばい。20第はほぼ横ばいで、50代の伸びが目立つ。 高スキルの人材の採用が加速していることが背景にある。コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)や新規事業に乗り出す企業が増え、即戦力の採用競争が激しさを増している。
(日本経済新聞 2月17日)

50代に対するニーズを見ておきたい。 エン・ジャパンが運営する求人情報サイト「ミドルの転職」が実施した「定年延長によるミドル・シニアの活用」(対象・転職コンサルタント199人)によると、50代を対象とした求人について「増えている」が43%だった。   求人が増えていると感じる企業タイプは、中小企業が76%、大手企業とベンチャー企業がいずれも35%だった。 定年を目前に控えた50代対象の求人がなぜ増えているのだろうか。 最も多かった理由は「若手人材の不足により、採用人材の年齢幅を広げざるを得ないため」。次いで「既存事業拡大に伴う、経験者募集が増えているため」「新規事業立ち上げに伴う、経営者募集が増えているため」「年功序列から成果主義へのシフトが進んでいるため」という順だった。  こうした理由で50代を採用するのなら、採用時の年収は相応の額を用意する必要があるだろう。50代にとってはセカンドキャリアの機会が増えて望ましい。残余能力の費消に入る日々を過ごすのではなく、65歳や70歳をゴールに見据えたキャリアプランをつくることができる。  くれぐれも老害と見なされないように、柔軟に振る舞ってほしいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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