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JTの希望退職に3102人 過去2番目の規模に

日本たばこ産業(JT)は14日、希望退職に計3102人が応募したと発表した。国内のたばこ事業にかかわる従業員数の4分の1に迫る規模だ。国内のたばこ市場の縮小を背景に、昨年2月に事業見直しの一環で実施を公表してから募集していた。  
応募したのは、たばこ事業やコーポレート部門で働く46歳以上の社員1169人と、営業活動を補佐するパート従業員1584人、定年後に再雇用された契約社員115人。今年3月末に閉鎖する九州の2工場などからも応募が相次いだ。応募者は退職加算金が支給される。退社は今年3月末の予定だ。
 JTが過去に募集した希望退職では、2004~05年度の5796人に次ぐ応募者数になった。寺畠正道社長はこの日の会見で、応募者数は想定通りだったとしたうえで、「社員ひとりひとりの熟考した選択を、会社として誠意をもって受け止めたい」と述べた。退職による欠員で支障が出そうな場合は、新卒や中途採用で補充したいとした。

(朝日新聞デジタル 2月14日)

 このコーナーで、希望退職のニュースには【不景気動向】という項目を付けているが、日本たばこ産業(JT)が実施した希望退職は業績悪化にともなう措置ではない。
2021年12月期連結決算は、売上高が前期比11.1%増の2兆3248億円、純利益が9.1%増の3384億円。海外のたばこ事業が好調だった。だが国内事業が不調なので、国内事業を対象に希望退職を募集したのだ。黒字リストラである。
しかも全社を対象にした募集ではなく、特定の部門を対象にした募集である。たとえ増収増益でも、収益モデルを転換するために非採算部門の社員にも手を付けるのは、ジョブ型人事の一例だ。
従来なら人員削減を行わずに、どの会社でも採算部門への異動で吸収したが、3000人規模の異動を実施すれば混乱は避けられない。転居を強いられる社員も多いはずで、結構な水準の退職金を得られるのなら、見切りをつけて転身したほうが現実的――そう判断した社員が多かったのだろう。
ジョブ型人事は採用だけでなく、希望退職にもおよんでいる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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