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太陽生命、営業社員4%賃上げへ 定着率を高める狙い

太陽生命保険は4月から営業社員に支払う給料の総額を4%引き上げる方針を固めた。地域ごとに決めた月給の最低額を保障する制度の対象を現在の入社3年目までから、5年目までに拡大する。最低額の水準も引き上げる。給料の安定化を図り、職場への定着率を高めるのが狙いだ。顧客数に応じて支払う手当を新設したり、顧客の契約が長年続くことをより評価した給料体系に変えたりもする。  
生命保険の営業社員は入社から数年経つと、前月の販売実績などに応じた歩合給の比率が高まる仕組みが一般的。安定した収入を得るには販売件数を維持することが必要で、不適切な営業の一因とも指摘されている。入社5年以内の営業社員の離職率の高さから、日本生命保険や明治安田生命保険などでも同様な動きがある。
(朝日新聞デジタル 2月10日)

帝国データバンクが実施した「2022年度の企業の賃金動向」調査によると、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と答えた企業は54.6%。2年ぶりに5割を上回った。
しかも賃金改善が「ない」と答えた企業は19.5%で、昨年調査から8.5ポイント低下した。 首相直々のメッセージで賃上げムードが高揚しても、原資が乏しければどうにもならない。
この時期に賃上げを行わなければ、人材の流出を覚悟しなければならないが、賃上げ圧力に抗いきれずに無理な賃上げを行えば人件費倒産に向かいかねない。資金繰りを精査して賃上げの見送りを判断したのだろう。
賃上げしない分、業績給でカバーする算段を立てているのかもしれないが、賃上げ余力がなければ業績給どころではない。厳しい年になりそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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