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介護職員の配置基準緩和へ…ロボット活用など条件

厚生労働省は、人手不足が深刻な介護施設の職員について、見守りセンサーや介護ロボットといったICT(情報通信技術)の活用などを条件に、配置基準を緩和する方向で検討に入る。2022年度に実証事業を実施し、最新機器の導入による業務の効率化や、基準見直しに伴う職員の負担増などを検証する。政府の規制改革推進会議の作業部会で、来週にも方針を説明する。
 介護保険制度では、国が介護施設の職員の配置基準を定めている。施設の入居者3人に対し、職員1人の配置が必要とされる。
 配置基準緩和の背景には、深刻な介護人材の不足がある。厚労省の推計では、65歳以上の高齢者人口がほぼピークを迎える40年度には、介護職員を19年度の211万人からさらに69万人増やさなければ追いつかないとされ、効率化が急務となっている。
(読売新聞オンライン 2月2日)

 昨年9月、SOMPOケアの遠藤誠社長(現会長)を取材したときに、遠藤氏はこう見通しを述べた。
「厚労省は2040年までに介護人材を69万人増員する必要があると試算していますが、私は2030年頃に69万人が不足すると見ています」
 さらに介護職の配置基準の見直しに取り組んでいることに言及した。
 「現在のスタッフ配置基準は3対1ですが、当社の現状は1・5対1から2・2対1です。介護の質を落とさずに4対1で運営できるように、今年度に先行施設として26施設を“仮想4対1”で廻す実験を始めます。この取り組みをSOMPOケアの施設だけに導入しても規制緩和につながらないので、いろいろ業者さんに呼びかけてエビデンスを確立したうえで、政府に働きかけることを考えています」
 介護人材不足の切り札として期待された技能実習生や特定技能の活用は、コロナで目算が狂い、先行きも不透明になった。配置基準の緩和には介護の質低下という懸念がともなうが、緩和しないことには看護保険サービスが成り立たなくなってしまう。
人手不足問題はそこまで行き詰っている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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