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後継者不在で倒産した企業、2021年は過去最多を更新

後継者の不在や事業承継の失敗などが主な原因となり、事業の継続見込みが立たなくなったことによって生じる「後継者難倒産」。帝国データバンクの調査では、2021年に発生した後継者難倒産は466件となり、調査を開始した2013年以降で過去最多を更新した。3年連続で450件を上回り、高水準での推移が続いている。   コロナ禍2年目となった2021年における倒産件数は、前年比23.0pt減少の6015件となった。いわゆる「ゼロゼロ融資」に代表される官民金融機関による積極的な資金供給策やコロナ対応の補助金などがさまざまに講じられたこともあり、1966年に次いで過去3番目に少ない半世紀ぶりの「歴史的低水準」を記録した。そうした現状にも関わらず後継者難倒産はハイペースで発生し続けており、全体の倒産件数に占める割合を表す「後継者難倒産率」は7.7%と前年から1.9pt増加。従来から抱える後継者問題による倒産リスクは、これまで以上に浮き彫りとなっている。
(帝国データバンク 1月19日)

後継者不在による倒産・廃業の増加を懸念する中小企業庁は、事業承継型M&Aの支援を強化している。 2019年に「中小企業のⅯ&Aは年間4000件弱に留まり、潜在的な後継者不在の中小企業の数(127万社)からして不十分」という問題意識を踏まえて、10年間で60万社の第三者承継の実現をめざす方針を掲げました。  目標は、25年までに経営者が70歳以上となる後継者未定の中小企業約127万社のうち、黒字廃業の可能性のある約60万社の第三者承継を促す。目標達成に向けて、中小企業庁は「機運醸成・環境整備」「マッチングの円滑化」「マッチング後の取組支援」による「第三者承継支援総合パッケージ」を公表した。 パッケージに組み込まれている事業引継ぎ支援センターのマッチング支援は、20年度実績で、事業引継ぎ成約件数が1379件(前年度比117%)と過去最高を記録した。同様に相談者数も1万1686者(前年度比 101%)と過去最高を記録した。 日本商工会議所調査によると、コロナ禍の影響で売上高が50%以上減少した中小企業のうち、事業承継時期を後ろ倒しにした比率は16・4%で、売上高が減少している企業ほど後ろ倒しにしている傾向が明らかになった。 事業承継を先送りすれば経営が弱体化していく。経営者が一定の年齢になったら、第一線に立ち続けたくとも世代交代に取り組んだほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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