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日立、全社員ジョブ型に 必要スキル、社外にも公表

 

日立製作所は7月にも、事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を起用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げる。管理職だけでなく一般社員も加え、新たに国内2万人が対象となる。必要とするスキルは社外にも公開し、デジタル技術など専門性の高い人材を広く募る。年功色の強い従来制度を脱し、変化への適応力を高める動きが日本の大手企業でも加速する。
ジョブ型は欧米では一般的な働き方で、職務記述書(ジョブディスクリプション)で
職務ごとに必要なスキルを明記する。賃金も基本的には職務に応じて決まり、需要が大きく高度な職務ほど高くなる。
 働き手にとってはスキルの向上が重要になる。事業環境の変化が速まるなか、企業が必要とする能力を身につければ転職もしやすくなる。
 日本では職務を限定しない「メンバーシップ型雇用」が多い。幅広い仕事を経験する総合職型で、終身雇用と一体で運用されてきた。
(日本経済新聞 1月10日)

ジョブ型人事制度で経営している組織の典型は病院である。医師、看護師、薬剤師、放射線技師、臨床工学技士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、事務職など多職種協働体である。
 企業のジョブ型人事は病院を後追いしているわけではないが、企業も専門職の集合体へと変貌していく。例えば日立製作所は2020年4月から「ジョブ型」雇用・採用を本格化させ、個別の処遇設定を推進している。
 同社人財統括本部・人事勤労本部のタレントアクイジション部長、進藤武揚氏は同社ホームページで、ジョブ型の利点を次のように説明している。
「メンバーシップ型との大きな違いは、受け身から能動へのシフト。会社から与えられたキャリアをこなすのではなく、一人称(自分自身)でキャリアを築くということです。それをサポートするための仕組みも整えており、従業員はライフステージに合わせてワークスタイルを選ぶことも可能です」
「キャリアを考えるという意味では、新卒一括採用ではなく通年採用を導入していますから、例えば留学にチャレンジし、卒業が3月以外になったとしても、個人の卒業時期に合わせて入社することができます。そして入社後は、それぞれの職種で、社外や世界に負けないプロフェッショナルスキルを磨き、自ら築きたいキャリアに必要なスキルは、日立アカデミーで数千講座もの学びのプログラムから選ぶことができます」
 ジョブ型人事を運営するには、どの職種も専門スキルの保有が要件になる。おのずと研修プログラムの優劣が問われてくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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